第13話 ハロウィン仮面絶体絶命

 今度の邪身、ハチ邪身マウスが現れたのは商店街だった。正義が駆け付けた時は八百屋に入ってレジの中の現金を要求しているところだった。

「何だ……? 金欠なのか、ダークは……?」

 よし、今のうちに、と彼はださい変身ポーズをとった。

「へん! しん!」

 説明しよう! 田中正義はコ○・コーラ社の自販機で当たりを出す事によって手に入るセットアップ・カンの中身を飲み干す事によって、ハロウィン・システムを起動する事ができるのだ! 彼はハロウィン仮面へと変身した!

「おい! ハチ男!」

 レジを壊してテシータ達に中のお金を袋に入れさせていたマウスに向かって、正義は叫んだ。

「俺の名はハロウィン仮面! トリック・オア・トリート!?」

 説明しよう! ハロウィン仮面は決めゼリフや技名を叫んだり、決めポーズをとったりする事によって攻撃力が上がるのだ! ハロウィン仮面の攻撃力が上がった!

「む! 貴様は!」

 マウスは正義の顔をじろりと睨みつけた。

「来たな! ホール・イン・ワン仮面!」

「1日で2体も出てくるとか、反則だろーが! こっちは疲れてんだよ!」

 正義は口上を終えるとすぐに攻撃にかかった。

「ハロウィン・ジャンプ! パンプ!」

 ハロウィン仮面の攻撃力が上がった!

「即行で終わらせてやる! ハロウィン・キーック!」

 ハロウィン仮面の攻撃力が上がった! しかし、正義の体は先の戦闘で疲れ切っており、動きが鈍っていた!

「ふん!」

 マウスに突っ込んでいった彼は、逆にマウスにその足を掴まれてしまったのだ!

「なっ! しまったっ!」

「どうした? 動きが悪いぞ?」

 マウスは右腕一本で正義の体を持ち、ぶんぶんと回して外に放り投げた。

「うわあっ!」

 彼は地面に強く叩きつけられた。

「ちくしょおっ!」

「きゃああああああっ! 変態よ! あの変態がいるわあああっ!」

 逃げていたひとりの女性が正義の姿を見て、思わず叫び声をあげた。やがて彼女の周りにはその声を聞きつけた人々がぞくぞくと集まり始めていた。

「噂ほどでもないな、そろばん仮面」

「く……」

 このまま俺が負けちまったら、この人達がどんな目に遭うかわからない……それに……!

「汚名返上しなくっちゃなああああっ!」

 必死になった正義は考えもなしにマウスに立ち向かっていった。しかし、その思いだけではどうにもならなかった。

「うわああああっ!」

 拳を打つが、あっさりかわされ今度は首を掴まれる。

「ぐっ!」

 マウスはそのまま彼の体を持ち上げた。

「うおおっ! 離せ……!」

「……ふっ、ちょうどいい」

「……? 何をする気だ……?」

 マウスは人々の前に躍り出た。

「おい貴様ら、この男の素顔を見たくないか?」

「! なっ!」

 人々はざわついたが、誰ひとり答えず掴み上げられた男の姿を見ていた。

「皆お前の素顔が見たいらしいぞ、チンチロリン仮面」

「くっ……! やめろ……!」

「ふっふっふ……! 無様だな」

 マウスの手が正義の仮面を覆った。

「やめろおおおおおおおおおおおおおっ!」

 そして、正義せいぎは暴かれた。


 続く!

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