次は君が……
経営していた事業が傾きだした。
なんとか巻き返そうとしたが増えるのは借金ばかり。
そして家も財産も失い、妻とも別れ……全て無くなった。
そう呟きながら、星一つ見えない夜空の下を歩いている男がいた。
汚れたボロ布を身に纏い、髪はボサボサ、無精髭を生やし、体はやせ細っている。
「何で俺が」
「こんな目に、だって? そんなの決まってるじゃんか」
男の後ろから声がした。
振り返るとそこには黒い服を着て眼鏡をかけ、ドッジボール位の大きさの何かを小脇に抱えた十二、三歳位の少年がいた。
「な、なんだ君は? というか決まってるって?」
男が掠れ声で尋ねる。
「あんたは散々人の物を盗んだじゃんか。だからその報いだよ、これは」
「報い? 盗んだ?」
男は少年が何を言っているのかわからなかった。
「あんた違法サイトでタダで漫画や映画見てたよね~?」
少年は腕を組みニヤニヤしながら言う。
「え? そ、そんな事で俺はこうなったと、そう言いたいのか!?」
男は驚きながら叫んだ。
「そうだよ~。あんたは作家さん達が一生懸命作ったものを……ねえ、どうしてお金払ってちゃんと見なかったの?」
少年は首を傾げながら言う。
「そ、そんなの」
「皆やってるとでも言いたいの?」
男が何か言おうとしても少年が先に言う。
「く、それなら」
「それを出してた奴は、だろ? こうしてやったよ」
少年は小脇に抱えていたものを差し出した。
「え? ……う、うわあああ!?」
よく見るとそれは人間の生首だった。
青白く凄まじい形相の……。
「キャハハハハハ……うん、あんたはもうかなり苦しんだようだね~。だから楽にしてあげるよ」
「え?」
少年は何処からともなく出した黒い槍で男の胸を刺し貫くと、男は叫ぶ暇もなく絶命した。
「キャハハハハハ。さてと、次は君がこうなるかもしれないよ~?」
少年は何処かに向かってそう言った。
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