黒い霧
辺り一面黒い霧がかかっていた。
その霧は禍々しさがあった。
霧の中を一人の女性が歩いていた。
女性は般若のような形相で苦しそうにしていた。
少年はそれを遠くから見ていた。
そしてこう呟いた。
「あの霧は払ったところでまた出てくるよね、本人が気づかない限りは」
他にも黒い霧の中で苦しそうにしている者がいた。
老若男女問わずに……
「……この世界はほっといても勝手に滅びるね。他へ行こ」
少年はそこから去ろうとしたが、ふと振り返ってこう呟いた。
「ねえ、その霧を払いたかったら思いだしなよな。どんな事があってもあんたを想ってる人がいるって事をさ……たとえ酷い事をしているように見えてもその人なりにあんたを想ってたりするんだよ」
はたしてそこにいた者達にその言葉は聞こえたのだろうか。
少年はそう思いながら去っていった。
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