一瞬だけど……
「それ~(笑)」
グサアッ!
「キャハハハ、えい(笑)」
ボン!
「それっ」
グシャッ!
ギャアアーーー!
うわあああーーーー!
ゴオオオオオーーー!
「さて、あんたらも」
少年は赤ん坊を抱いた母親の前に来て言うと
「ま、待ってください」
「ん? な~に?」
「私はどうなっても構いません。ですがせめてこの子だけは」
「ん~? あんたが死んだらその赤ちゃんはどうやって生きてけばいいのさ~?」
「え? そ、それは」
「まったく勝手な。二人共死ねよ」
そう言って少年は槍を構えた。
ドカッ!
「え?」
槍は母親の真横の地面に刺さっていた。
「庇うのはいいけどさ、僕が人間全員殺していってるとこなのにその赤ちゃんだけ生かしたって意味無いじゃん」
「で、でも」
「まあ、この世界ってあんたみたいなのや赤の他人でも思いやれる奴が少ないけどいるしね~、そいつらだけ生かしてやるのもいいか~……だからあんたも生きなよ、たとえ泥をすすってもその子を守る為にね」
「え?」
母親は目を見開いていた。
「それじゃね~」
少年は去っていった。
「あの子、一瞬だけど泣いているように見えたわ」
母親はそう呟いた。
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