魔女喰い(流れ行く時の中で)
僕たちの日常は、とても狭い範囲で繋がっているのかもしれない。
トゥルルルルル・・・
古い電話のベルが鳴り響く。この電話で音が鳴るのは久しぶりだ。
俺はスマホに手を伸ばした。
「久しぶり。魔女に喰われたのかと思って心配したよ」
「はじめまして」
・・・・誰だ?なんでこの電話を知っているの?
「どちら様ですか?その電話番号は・・・」
「そうね。別に電話を盗んだわけじゃないし、彼女も元気よ。ちょっとこっちの事情があってね」
そうなのか・・・まあ、家族の事情とか知らないしな。でも、どうして本人からじゃないんだろう?
「ご家族の方ですか?俺が何かご迷惑をお掛けしたのでしょうか?あの、本人とお話する事はもう出来ないのでしょうか?」
「そうね。もう関わらない方がいいと思うの。あなたのためだから」
とても冷たいあしらわれようなのに、彼女の言葉はとても暖かく聞こえた。やっぱり、家族の方なんだろうな。同じ雰囲気がする。
「それから、魔女喰い事件に興味があるようだけど、もう調べたりしないで、いくつかの資料が届いているでしょ。彼女が送ったやつだから、それはそっちで処分して頂戴」
えっ?彼女が送ったやつ?あの機密書類とか・・・
電話していたあの彼女って警察関係者だったのかな?それともスパイ活動して捕まっちゃったりしたのかな?
「ほ、本当に彼女は元気なんですか?もう一度、お話することは出来ないのでしょうか?声を聞かせてください」
まるで、誘拐事件でもあったかのような、犯人とのやり取りに似ている。
「わかった。変わってあげる」
どうやら要求は叶ったようだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます