魔女喰い(怪談)

私、見たんです。夜、仕事の帰り道でのことでした。

魔女喰い事件で亡くなったと聞いていた彼女が、私の後を付けて来ているんです。

死んだはずのあの人が、まさかと思いました。

何度も確認したんです。怖くなって小走りに坂道を登り、普段は通らない階段を登っている時、後ろにいたはずの彼女が、いつの間にか目の前に現れたんです。

怖くなって叫びました。あまりの怖さにうずくまっていると、いつの間にか何処にも居なくなってしまったんです。

噂で聞いた話なのですが、他にも亡くなった人がいたかと思うのですが、目撃情報があって夜な夜な私たちのような女性を襲っているんですって。

私?私は頑張ってまだ外に出るわよ。仕事も好き。

それに若い男性も好き。

だって、1人じゃ生きれないもの。

生きるためには必要なことでしょ。誰かと交わること。自然の摂理よ。

お化けが怖くたって、家に閉じこもるなんて出来ないわ。

仕事から開放されたいって思ったことはないの。

家に閉じこもってお化けに会わないようにする?それは嫌よ。

家から出てきなさいよ。

心も体も元気がなく、だんだん老いているんじゃない?

顔を見れば分かるわよ。生気が足りないわ。

一緒に外の空気を吸いに行きましょう。

きっと元気が出てくるはずだから。

正直、私も1人だと心細いの。一緒に仕事に行ってくれる仲間が欲しいわ。また、お化けに会うのも怖いわ。

お化けが後ろからヒタヒタと近づいてくるかもしれません。1人なら怖いけれども、2人ならね。少しは大丈夫。そうでしょ?

私たち、一度はお化けに会ったけど、何も起きなかったでしょ。もしかしたら、錯覚だったのかも。亡くなった人が生きてるなんて、ありえないわ。

幻を見たのよ。よくあることだわ。きっと、もう私たちの前には現れないわ。

さあ、行きましょう。体を動かすのよ。

私の体。もう一つの私。。。

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