魔法少女の機械兵

天野 アタル

本編

プロローグ

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 とうとう終わりの時がやってきた――。



 崩れ、豪雨の如く降り注ぐ天井を視界に映し、私は静かに思った。

 大罪人の最期とは、やはり呆気ないものだった。


 それでもせめて。息の根が止まるその瞬間まで、ほんの僅かな安らぎを得たくて、私は視界が瓦礫で埋まる前に、白衣の胸ポケットから折り畳んでボロボロになった写真を取り出し、仰ぎ見る。


 結局、約束は果たせなかった。

 だが。それも想定内のことだった。


 果たせないだろうことを、私はずっと前から予感して、思うたびに、罪の意識を感じさせられた。

 もうすぐ私は死ぬだろう。間違いなく死ぬ。

 だが皮肉なことに、死んでしまえばこれまで抱えてきた後悔も、苦しみも、悲しみからも私は一挙に解放されてしまう。

 目前まで迫る死こそ、大罪人である私を解き放つ唯一の救済になり得るのだった。

 なんとも皮肉だ。ほんとうに。情けないほどに。救いであるということを、最大級の罰であると感じてしまいそうなほどに。

 ここまで来て、死を素直に受け入れられない私は、愚かで、救いようがない。


 しかし。

 けして最悪ではない。

 たとえ、最悪だったとしても、ベストな方であると言えることが、現時点での真の救いだろう。


 布石ふせきは残した。

 後は信じることしかできないけれど。

 不思議と不安はない。人はこれを、希望と言うのかもしれないな。

 鼓膜を潰すような甲高い咆哮が天井を突き破る寸前。

 私は最期の台詞を口にした。



の未来に、幸多からんことを――」


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