「気を付けなきゃ。」

おおっと。危ない危ない。いつものクセで、こちら徳田病院です、って言っちゃうところだった。

「ショーツクルの補充なのですが、今すぐにでも届けてくださりますか。」

「はい、分かりました。」

プツン。




病院の地下、薬品倉庫にショーツクルはある。組織から仕入れた白いショーツクルを間接的に売るのが私の仕事だ。病院は薬を隠すにはまさにうってつけで、その為に私はこの小さな病院に勤めている。だから辞めさせられると困るんだ。


元は仕事のタメに来たとはいえ、に出会えたのはホントにラッキーだった。こんなに恋したのは初めて。これでも昔は冷酷のハイエナと呼ばれてたんだけどな。


初村さんは今でこそバーの店主なんかやってるし物腰も柔らかいけど、引退前はクジラっていう最強の殺し屋だったそうで、私の大先輩。やっぱりこんなちっちゃい仕事じゃなくて花形よね。





「あれ。」

ショーツクルが残りちょっとしか無かった。そういえば今日届くはずだったんだけど、来てない。

いつもの運び屋じゃなくて、エリートが届けに来るらしくてワクワクしてたのに。クジラさんの再来とか言われてる……誰だっけ。まあいいや。

とにかく、来てない。最近はライバル組織が妨害してきて、命まで狙ってきているというから、それのせいかも。だったとしたら私も危ないわね。気を付けなきゃ。






ドンっと机にショーツクルの入ったダンボールを置く。あー。疲れた。汗もダラダラ。

よし、これを持ってって……そういやこれ、何に使ってるんだろ……

あー。もういいや。届けたら後は帰って寝よ。今日はなんか疲れた。汗がやばい。ふきふき。あ、これ徳田先生のだ。くんか。

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