第2話【現状把握】
大量の情報で頭が痛い。荒い息をつきながら裸で台座に寄りかかり一息ついた。
「転生、マジか。つまり前は死んだんだわな。ハタチで死んだのか?」
『インストールされての第一声がそれですか?マイマスター?』
凛とした綺麗な女性の声が部屋に響いた。
「!?だれだ!」
『目の前のネックレスです。マスター』
綺麗な赤い宝石から声が聞こえたようだ。周りには誰もいないことを再度確認し
もう一度声を掛けた。
「ネックレス?これはSF?それともファンタジー?機械チックじゃないしファンタジーかな?」
『ファンタジー?よく分かりませんが私は、あなたの武器でありすべてを補助するために作成された魔具です。名はアーカーシャと申します。よろしくお願いします』
「魔具…ね、よろしく?アーカーシャ。俺は紫苑。天枷紫苑だ」
『不安になる間ですね。たとえ置いてかれたとしてもインストールが終わった時点ですぐにあなたの元に戻ります、ずっと一緒です。マスターアマカセシオン』
「その言い方はちょっと怖いぞ。シオンでいい。てかネックレスって喋るんだ」
『マスターシオンにも使用された魂の定着をした人口魂魄で作成された魔具なので意思があるんです』
その声には待ち望んでいた物がやっと手に入ったかのような歓喜の混じった声だった。
「とりあえず、武器?魔具?っていったい?」
『武器はそのままの意味です。私の拡張空間内にマスター専用武装【リベリオン】【ヴェンデッタ】の二挺の銃が保存してあります。
魔具はこの私です、拡張空間・自動地図・魔法補助・解析鑑定・新規魔具生成・話し相手です』
「おーい最後最後、話し相手ってお前俺が寂しい子みたいじゃないか?独り言ばっかのボッチみたいだろ…」
『そっちですか、銃や機能じゃなくそこ突っ込みますか。どうやら私の1000年も待ったマスターは大分愉快な方なようですね』
「逆に冷静に現状把握してたらおかしいだろ、正直混乱している」
そこでアーカーシャは初めて彼の様子に気がついた。震えているし眼の焦点が合っていない。
混乱しているのが見て取れる。当たり前だインストールされ大量の自分の本来持っていなかった知識が強制的に刷り込まれたのだ。
冷静に認識なんてできなわけないし、したくもないだろう。
『申し訳ございませんマスター、気遣うこともできず』
「いや、うん大丈夫落ち着いてきた。とりあえずお前は喋る。意思疎通もできる。オーケー、質問いいか?」
『イエス、マスター』
「知っていることをわかりやすく教えてほしい」
『イエス、マスター。マスターは、戦争に勝つために万能をコンセプトに作成されたホムンクルスです。魔法はすでに認識されてますか?』
「ん、ああこれだろ?」
術式を展開しようとする。今回は落ち着いているため使用は破壊目的ではなく安全な光源を作る魔法【ライト】だ。
光の玉をだしやはり思う、これは魔法だと。
『イエス。作成目的もインストールされ分かってられると思いますが。つまりマスターはどんな状況でも即応できかつ生存できる。使い捨てではなく継続した使用を目的とされています。万能を目指すあまり色々詰め込まれ過ぎた感はありますが』
「つまり俺は人ではないと?」
『広義的には、ですが普通に人と生殖は可能です、マスターが今までどんな世界で生活されてきたかはわかりませんがこちらには多様な種族がいます。人族・獣人族・妖精族・炭鉱族・小人族・巨人族・竜人族などです。
マスターのホムンクルスの肉体はハーフの妖精族と似た感じです。』
「うぅん?待てハーフの妖精族?」
耳を触ってみた、インストールされた知識の中にはハーフ妖精族は耳が長い。
「おおう…ちょっと長い、マジか!」
『マスターは長寿ですから、完全に人族と同じだと寿命面で面倒になりかねません。隠蔽工作です』
「っは、お前俺を愉快とか言うがお前も十分愉快だよ、ユーモアセンスあるよ」
『恐縮です』
「褒めてない」
『脱線しましたね、マスターは真の万能のため作成されました。特に魔法面に関してです。なのであらゆる属性を使用できるように造られました。
ですがあらゆる種はすべての属性を内包なんてできません。属性にしても火・水・雷・土・風の基本属性、時間・空間・重力・エトセトラ。
単一属性でもそれです。複合まで数えると未確認もありますし。それこそ数え切れません。なのでそれをどうするか?どうすればあらゆる属性を操れるのかというのが研究内容および実験内容でした』
アーカーシャは気遣ってか淡々と俺を在る意味を教えてくれた。
『そこで注目されたのは世界に存在するマナです。人の持っているマナ、つまり魔力は自己の持っている属性に染まります。
なのでその持っている属性のみしか通常使えません。ですがマスター、マスターはここ以外の世界から条件召喚により召喚されました。条件は世界と同一のマナ、研究者達は無属性。あらゆるものになる属性と呼んでました』
『この世界で生まれる存在は潜在的に属性を持ちます、1つのみだったり2つ多くて3つという形に。ですが無属性はこの世界にはいませんでした。世界と同じにはなれなかった・・・・のかもしれません。なのでアプローチを研究者は変えました。この世界じゃなければいいのだと。なら別世界から喚べばいいと!』
『つまりそれがマスターです。』
笑えるなぁ、モルモットかよ、状況は最悪!いったいどーすりゃいんだ製作目的は戦争だろう?奴隷扱いとかゴメンだぞ。
逃げるしかない、戦争とかできはずがない。生まれてこの方喧嘩ぐらいしか戦闘っぽいのなんて経験なんてありゃしない。
インストールされた記憶はどうやら二種類、最初のカプセル内で魔法や戦闘の知識や擬似経験はある。更にアーカーシャに触れた時に装備や身体の知識もある。ここはアーカーシャを持ってダッシュで逃げるかなぁ。
「逃げよう」
『?研究者はいませんよ、どちらに行かれるので?』
「は?」
『マスターを縛るものはありません、作成者は1000年も前にこの研究所からいなくなっています』
「は?1000年?」
『イエス、詰め込みすぎたんです。マスターは作成途中で放棄されました。いえ、肉体は完璧でした。召喚の陣もです。
ただ欲張りすぎたんです。無属性を持つ魂に更に膨大な魔力と親和性を持った魂とか滅多にいません。マスターはまさに1000年に1人の御方、しかもあらゆる世界からのです。奇跡なのです。1000年もかかったんですから』
「なるほど、研究者達は既にいない。ここは既に廃墟。つまり自由か!」
心底ほっとした!ならゆっくりと考えることはできるわけだ。てかこんな長話してる時点で研究者どもがいたらアウトか。
あっぶな、セーフ。ラッキー…ではないね断じて運はよくないか。悪運っていうんだよ今の状況は。
『いかがいたしますか?私の空間には美味しくはありませんが1年分の食料と水、3万発の弾丸と多くの素材があります。ゆっくりとお考えください。』
「考えるか、そうだな。ゆっくりできるとこある?ちょっと疲れたよ」
『イエス、マスター。居住区にご案内いたします』
そして俺は、台座からアーカーシャを取り首にかけ歩き出した。
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