「隣の冷凍室から、マサヒロが俺を見ていた」
兄:
「今日の晩御飯は麻婆豆腐だぞ、感謝して頂け」
私:
「ありがたき幸せですわ、お兄様。――あら? このお豆腐…」
兄:
「気づいたか、がめつい奴め。普段と違ってお高いやつだ」
私:
「その表現に物申したい気持ちはありますが…。美味しいです」
兄:
「うむ。たまには贅沢をしてみようと思ってな。見切り品の豆腐を手にした時、隣の冷凍室の中からマサヒロが見ていることに気づいたのだ」
私:
「ま、マサヒロ…?」
兄:
「男前豆腐で検索してみるといいだろう。ともあれ、奴は言っていた。――そこの貴様、そんな豆腐で大丈夫か?」
私:
「なるほど。お兄様はこう答えたわけですね。――1番良いのを頼む」
兄:
「うんにゃ。見切り品じゃない、20円高いやつにした」
私:
「なんてこと…。違いが分かると言っても、所詮は庶民でありましたのね…」
兄:
「我々には、この豆腐で十分だということさ」
私:
「ですね。お兄様、おかわり」
兄:
「たんとおあがり」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます