第13話


早速…ということで、生徒会室へ案内された。

会長…千を先頭にして3人でぞろぞろと生徒会室に入る。その部屋は普通教室より一回り小さいぐらいのサイズで、4個の机が2個ずつ向かい合い、1つの大きな長方形のように並べられていた。

庶務、会計、書記、副会長、そして奥には会長用らしき大きな机。

お前は校長か何かなのか。

空いたスペースにはソファが二つと資料やらの棚など、まさにそれらしい、しかし普通よりかなり豪華仕様だった。

中には…5人の生徒がいた。皆それぞれ少し異質な…何かを感じさせる…ような気がしなくもない。

「おおっ!さっすが会長だね!本当に連れてきちゃったんだ」

「…私の勝ちのようですね、神谷さん。コンビニの肉まん、よろしくお願いします」

「くうっ…なんということだ。俺の運命力の上を行くだと……仕方あるまい」

順に、青い髪の明るい雰囲気でテンション高めな少女。バンダナが特徴的な、薄黒い少し長めな髪のイケメンな男、正直服装と言動が合っていない。言動が少し頭可笑しい、キリッとした目でオールバックの背の高い男。

…とても生徒会にいるような知的な奴らには見えなかった。

「……はぁ」

「お姉ちゃんはまた溜め息ついて…悪い癖だよ?」

いかにも敵意剥き出し…視線を向けようともしない黒髪の女と、その妹らしき金髪の、アレンジされた制服を着たイマドキっぽい少女。


………。


「…頭おかしいんじゃないか?なんだこの面子は」

他には聞こえないようにボソリと十柏に声を掛ける。

「…まぁ、確かに少し個性は強いが…良い奴らだ。…1人ずつ軽く自己紹介をしてくれないか」

「はいはいっ!私からね!」

ぴょんぴょんと自己主張激しく飛び跳ねる彼女は返事も聞かずに自己紹介を始めた。

「私、エリクサー=リーストって言うんだ!リーストが苗字ね!気軽にエリーって呼んでね!あ、生徒会は副会長、2年生ね!」

ずいずいっと迫りながらそう名乗ると、強引に彼の手を取り、ぶんぶんと振り回した。

「あ、ああ…。外人か?髪の毛といい」

「この青い髪も生まれつきっ!エリクサーの力は〜…」

パッと手を離し、両手を腰にやり、自慢げに胸を張った。

「なんと!相手のステータスを見る能力ぅ!これってこれって、ゲームで良くあるステータス画面みたいな奴ね!」

全く警戒した様子も無さそうにさらりと自分の能力を告げた少女。無知なのか、或いは大物なのか…

「髪の毛といいエリクサーは多分、この世界の主人公だと思うよ!」

…どうやら、主人公らしい。

一人称が私だったり名前だったり、自分でも個性をつけようとしているのが解った。或いはもしかしたら無意識かもしれないが…。

慣れない相手に無表情が崩れ、彼は小さく吹き出し苦笑いを浮かべていた。

あ、因みに…と顔を近づけ、彼女は耳元でボソリと呟いた。

「実は、好感度なんかも見れるから気になったら言ってね」

むっふふ〜と…何か企むような変わった笑みを彼に見せつけながら離れる。

「ハッピーエンドを迎えたいなら私にお任せ!なんてったって主人公だからね!改めてよろしくね!きたっきー!」

そう改めて自分を売り込むと、女子達の元へするりするりと帰って行った。

…今のは、俺のことか……?

額に手をやり溜息を漏らす。

元から知り合いだったか?と会長に聞かれたが、首を振った。どうやら…彼女なりに言うなら、最初から何故か好感度は高いらしい。


「次は私ですね」

そう言ったのはバンダナの男。一度首の裏を掻いた後、椅子から立ち上がる。

「近木ちかき円治えんじと言います。見ての通り三年で、生徒会では書記を担当しています。能力は……そうですね、五感が鋭いです。千里眼、とまでは行きませんが。耳は心音も聞き取れるぐらいには。…よろしくお願いします」

能力を言うべきか一瞬迷ったらしい、が、彼もまた能力を告げた。…それが本当かどうかは解らないが。

…いや、嘘をつく必要はない、のか…?

先程のエリクサーに比べたらかなり知的な…大人びた雰囲気を持った男だった。というか、一人称が『私』学生の男など見たことがない。

「あ、ああ…よろしく」

雰囲気に飲まれ…というか、多数の前で、更に年上と話す、という状況に慣れていない彼は気の利いた言葉を言うこともできずただそれだけ。

無論灰と化してはいるから冷静なのだが…それでも、彼はあまり人と話すのが得意ではない。それもこれから仲良くなろうと言う人に対してなんと言えばいいかなど、解るはずもない。

「はい」

椅子に腰を下ろし、備え付けられたPCを弄り始めた近木の次には、もう1人の男が立ち上がった。


「ふっふっふ…まさか貴様と俺が交わることになるとは…これも俺の運命力デスティニー・ディスタンス(D.D)の賜物か」

…やばい奴だこいつ。いや、直感だが…解る。確実に…頭可笑しい奴だ。

「ハッキングなら任せろ!加えて発明も出来る!よろしく頼むぞ、北の神の性を冠する者よ!」

「…北の神が北神って性を持ってるわけでは無いと思うのだが…」

「ええい細かい事はいいんだ!」

指摘されるとうぐっ…と大袈裟にドモっていた。

「俺は2年、会計をしている、神谷かみや非人あらひと。神を谷に突き落とす、人非ざる者と覚えるがいい!」

「ああ、おう…よろしく」

…偽名かどうかすごく気になる。

だが、一々ツッコんでいたらキリがないであろうことは早々に予想できた。

彼はそう軽く流し、奥の2人に視線を向けた。


「先輩、初めまして。めぐるは習詩ならし 廻めぐると言います。一年生で、生徒会のメンバーではないですけど…一応、能力者です。えっと…よろしくおねがいしますね」

笑顔でそう自己紹介した彼女は、一般に見ても愛らしい、小動物的な少女だった。しかしそれは…小悪魔的にも見えた。

頭を下げた彼女との距離は遠い。その横で座っている姉らしき人物は、廻の挨拶が終わると、ちらりとこちらに視線を向けた。

「習詩ならし巡めぐり…能力は無いわよ」

庶務だろうか?彼女は本を読む手を止めずにそう名前だけを告げた。

「もう、お姉ちゃん…」

「ああ。…よろしく。…妹の方はなんの能力を?」

姉の方はどうやら話しかけない方がいいらしい。恨みを買うような覚えは…恐らく無いのだが、果たして。

「めぐるは他人の視線を認識できます。その人の意識の中心…視界の真ん中が線になって見える…みたいな感じですか?」

?を付けられても困る。

正直、ろくに使い物になりませんけどね…と、めぐるは苦笑いを見せた。

…ふぅん。

…生徒会は能力者の集まりじゃないわよ。と巡の視線が語っていた。


そして全員が終わり、もう一度視線が彼の元へと集まる。…自分もしろ、ということなのだろう。

…言うべきなのか?いや…駄目だ。

…裏世界が望む力、それが俺の物に近いということは…恐らく次第に勘付かれる。過ぎた年月や、歳、経験というのは、どうあっても隠せそうにないからだ。あの2人は信頼出来る…かは知らないが、とりあえず信用することにはした。キリがないし、あの2人にこちらを信頼してもらう必要があるからだ。

或いは他の人間に疑われた場合、カバーできる最大の戦力でもある。

あー…と軽く咳払い、そして視線に応えて慣れない事を始めた。

「北神。2年生。部活は入ってない。…能力のことを話す前に少し聞きたい。この中で“世界”に頷いた奴、もしくは夜に出歩いた奴はいるのか?」

そう、髪は染めればいいし、カラーコンタクトをすればある程度は誤魔化せるかもしれない。故に…白でないからといって灰ではないとは言えないのだ。

その問いに彼らはお互いを見合い…

「あ、はいは〜い!私は夜ちょっと出たよ!」

エリクサーが手を挙げたものだから、彼は当然驚いた。しかし他の全員はそのことを知っていたらしい。因みに他には誰も外に出ていないらしい。

「戦う手段を持ってるのか?主人公」

「おうともさ!」

自信満々に頷くと目を閉じ、手を前に翳す。…まるで主人公が聖剣を呼ぶかのように。

「…来て!エクスカリボルバー!」

声に呼応し右手に光が集まりだし、彼女がそれを掴むと、黄金色の銃が姿を現していた。

そして彼女は何処か…まるでゲームの中のキャラクターがカメラ目線をするように、部屋の隅を見上げてかっこいいポーズを取っていた。

「なっ…そんな物を持ってるなんて聞いてないぞ!」

「ふっふっふ〜、言ってないからね〜!」

「すご〜い!もしかして、エリ〜って本当に主人公なんじゃ…」

「…リーストさんに任せておけば最初から良かったかもしれませんね」

各々が驚きの声を上げる中、彼はそれよりも疑問を覚えた。

「隠してたのは良いが、何故それを言う気になったんだ?」

「ん〜…この銃は魔力を撃ち出すものだから殺傷生は低いんだ〜。でも何もないって言ったら、君、1人で戦うことになっちゃうかな〜って」

隠してたのは、来るべき時まで隠しておきたかったから!ってだけなんだけどね。と、てへへ…と微笑む彼女は成る程、その金色の銃のように眩しい主人公だった。

「…解った。…お前とかは世界の夢で頷きそうだと思ったんだが、なんで頷かなかったんだ?」

興奮のままに立ち上がりリーストの銃を眺めていた神谷に視線を向けてそう尋ねる。

「俺か。リーストとも話したんだが…どうも怪しいと思ったからだな。それに!奴の思想は解らんでもないが…俺は世界と敵対する者!俺は俺個人として!未知を追い求める!」

「…いつもこのような調子ですので、どうかそっとしておいて頂けませんか」

近木の告げ口におい!と噛み付き、2人の言い争いが始まっていた。といっても、激しい調子の神谷をスイスイと躱して近木が事実を突きつける、という一方的なものだったが。

彼はその間に考えを纏めていた。

…投影を告げたら、例えば死亡者が居たとして真っ先に疑われる羽目になるだろう。だが…別に良いのではないか?疑われたなら疑われたで、そういうものなのだろう。逆に隠していた方が何かしらイチャモンをつけられる可能性がある。

…治療に関しては黙っていよう。どうせ治せるから…というのは人の在り方を大きく変える。それに、誰かが怪我した際、それを治すのを拒否するのも良くなく思われるだろう。

ジトりとこちらを見る視線、その先を辿ると、巡がこちらを見ていた。考え込む彼を不審に思ったのだろう。こちらもジトりとした視線を返すと、暫く互いに見つめ合っていたが…

「あれ〜?巡ときたっきー、そんなにマジマジと見つめ合って…なになに〜?」

言い争いがその言葉で止み、2人の視線もそれを合図に交わるのを止めた。

「本当に止めて。……」

「……なんで俺に怒ってるのかは知らんが、理由も何も言う気が無いなら俺は何も言えないんだが」

理由も解らずにただ一方的に憎悪を向けられるのは苦手だ。

…というか、腹が立つからその視線は止めろ。…とは言えない。

きっと彼女めぐりが正常で、彼らが異常なんだろう。…嫌われる理由は無いと思うが、好かれる理由もまた、無いかもしれないから。

この敵意は他人にするものとしては普通の範囲だろう。必要な会話さえできるなら、それでいい。

「お姉ちゃん…先輩、すみません」

「あなたが謝ることじゃないわ。それに、謝る必要もない」

姉妹はそして黙るしかなかった。周りも何も言えずに止まり、その空気をなんとかしてくれそうなエリクサーは、ん〜…?と何か考えているらしい。

「確かに謝る必要はない。それが普通だ。そこの主人公が洒落にならないからかい方をしたから…」

「む〜……てへっ、てことでここはひとつ〜…」

不満げにそう謝った?彼女には皆が苦笑いに連なる表情をしていたが、その空気を千が切った。

「北神、そろそろ…」

「ああ、悪い。そうだな。…俺の能力は2つある」

急かされて彼らに、サラッと、まるで自然なこと、世間話でもするようにそう告げた。

「一つは、この二人にも言ったんだが…勘が鋭い。超直感って奴だ」

続けてサラリと嘘をついた。だがあながち間違いじゃない。二人は察していたのか何も言わなかった。

「おおっ、主人公属性の一つ!いいな〜、私も欲しいな〜」

「そしてもう一つ…これだ」

先程のエリクサーのように手を前に出し、瞳を閉じ…そして、投影。

現れたのは、黄金色をした剣だった。

「エクスカリ…」

「違う」

剣の出現に目を輝かせ飛び付いてきたエリクサーがマジマジとそれを見つめていた。勿論彼女だけではなく、全員が驚いた顔をしている。

「…要るか?」

「えっ、いいのっ!?」

あまりに物欲しそうに見つめてくるものだから思わずそう言ってしまった。柄の先の部分を向けて差し出すと、エリクサーはそっと剣を受け取り、天に掲げた。

「おおお〜っ!意外に軽い!」

中身スカスカだからな…蹴り一発で壊れるような、見た目重視の代物だ。

「お、俺にも触らせてくれっ!」

興奮のまま少しそれを振り、惚けるようにそれを見つめていたエリクサー。

唖然としていた神谷が動き出すと同時に近木や廻もそれに近づき、それをマジマジと見つめていた。

「北神さん、あれは…?」

「ただの偽物だ。言うなら…“金っぽい材料で造られた剣っぽい何か”だな」

…???と多重疑問符を浮かべている会長他を他所に、裏神はそれだけで理解したらしい。

「成る程…つまり、物を創る能力、ですね?」

「ああ、だからあれはそれっぽい見た目なだけの、ただの玩具だ。それに適当に作ったから壁とか床にぶつけたら多分折れる」

成る程な…と納得したらしい会長が頷く。そして主に盛り上がっていたエリクサーと神谷がにじり寄ってくる。

「ねえねえじゃあさじゃあさ!何か私用に作ってくれないかな?あっ、というかこれのちゃんとしたのが欲しい!」

「おい待て待て。…北神よ、俺に魔剣を作ってはくれないか!こう、炎を纏った…」

「無理だ。出来たとしても断る。作ったそれを何処に隠すんだ」

あ、そっか…。とシュンと落ち込んだ二人を横目に、十柏に視線を移した。

「そろそろいいだろ、どうする予定なのか教えてくれ」

「ん?ああ…そうだな。だがその前に、お前のその白い髪…彼奴らと同じ物だろう。どういったものなのか、教えてくれないか?」

全員の視線が彼の白髪に移った。廻の能力で見たらきっと面白いぐらいに。

7.8割方は白くなったその髪は、やはり少し異質に映る。

「別に大したものじゃない。頭も体も良く動けるようになる、ってだけだ」

「それを自在にON.OFF出来たりはしませんか?」

「できるようにしたいとは思ってるが、今は出来ない。これは言うならストレス性の病気だ。…自由に自分を変えられるようになれば違うかもな」

例えば…別人になるとか。記憶を消すとか、世界最大級の幸せを与えるとか…そんなことが起きたら、きっと…。

「…なら、あの夢の包帯の方は…目を合わせた相手にトラウマを植え付ける力を?」

神妙な面持ちで顎に手をやり考え込んでいた近木が推論を口にする。

「或いはトラウマを思い出させる力、とか…ですがそれはこの際どちらでも構いません」

「ああ。みんな、大事なのは…自称“世界”は嘘をついてそれを植え付けようとしたということだ」

リーダー格の二人、裏神と十柏の言葉は全員の胸の内に落ちた。“世界”は…敵なのだ、と。

結論は出たらしい。なら、やることは…あの少女の行方を追い、そして“裏世界”と出会う事…?いや、それは所謂勇者、主人公がやる事で…目的は、知る事。先制を取ることだ。

今回の事をやる価値が、もう一度ハッキリと見えたわけだ。

「…よし、では…これより作戦概要を説明する。裏神、頼んだ」

「はい」

裏髪が入り口の真ん中、全員が見える位置に立ち、北神は来客用のソファへ。各々が自分の席へ着く中、メンバーでない廻もソファへ。そして何故かリーストも。

「この剣、どうしよっか」

エリクサーに渡した剣を取り敢えず受け取る。

…隠す力は見せないほうがいいだろう。

サイズの合う鞘を投影し、取り敢えず机の上に置いておいた。


既に犯人の目星はついているらしい。どうやら男二人はかなり調査系が得意らしかった。

男の名前は 河野かわの鋼こう、3年生。部活は入ってない。友人も多いが、素行は良くもなければ悪くもない。

赤い髪は本人曰く染めてるらしいが地毛かもしれないとのこと。…どうでも良い情報である。

「この方はあの日以来しばしば休んでいます。そして丁度あの日、私と同じく学校に残っていたそうです。そして一番の根拠は…」

「私が昨日、夜出歩いた時に河野先輩を見たからだよっ!『エリクサーが白髪ゾンビ軍団から隠れ逃げていた時、炎を纏った男が4.5人相手に戦っていた!ナイフやバットをひらりひらりと躱し、回避出来ないほどの炎を爆発的に拡散!相手は燃える髪のまま逃げる!』〜みたいな」

前回のあらすじ…とでも聞こえてきそうなアナウンス口調を真似た言い方で、解りやすく説明してくれた。

「…それで、説得するからいざという時のために側にいろ、と?」

頷いた裏髪に溜息を吐く。正直…溜息が出るのも仕方ないと思う。

「俺も夜に出歩いたんだが…二人相手にギリギリだった。…勝てるのか?俺に」

「戦闘にはならないように、最善を尽くします。…計画といっても大したことはありません。学校に来たら放課後残ってもらって、それを問い詰めるだけです。良くも悪くも人は疎らですから」

放課後なら、戦闘になっても被害は少ない。人の目に晒されたくないなら能力は使われないはず、という考えなのは説明されずとも全員理解しているらしい。

「もし来たなら来たら明日にでも。私と、会長、北神さんで行きます。会長はお強いですし、人数を連れて犯人をしげしても良くないですから…」

「ちょっと待ったっ!私も行くよ!!」

割り込んできたエリクサーが声を大にしてそう自分を主張した。

「…大丈夫ですか?かなり危険ですし、止めておいたほうが…」

「主人公がいないパーティーは仲間フラグを立てられないよ!」

ふんす!と少し怒ったような、されどドヤ顔でアピールをしている彼女の参戦が決定し、その日は別れることになった。


「そういえば北神、お前はゲームとかするのか?」

時刻は6時より少し前…一人でイヤホンをつけて帰ろうとしていたところで、神谷とエリクサーが声をかけてきた。なし崩し的に帰路を共にする。

「基本的になんでもやる。今ならsp2222とかか」

人気なオンラインゲームだ。唯一の親友ともこの中で良く一緒にクエストをこなしたりしていたが…最近はご無沙汰だった。

「おおっ!やっばり!あれをやってたかぁ〜」

「やっぱり?」

「だってあの剣、この前解放された最高ランクのソードによく似てたからさ?まぁ初期デザインの宝石無いverにだけど」

「む?…ああ確かに!あのデザイン何処かで見たことあると思ったが…流石リースト、詳しいな」

…世界を移動してたから、正直そんな細かいデザインを覚えてはいない。なんとな〜く、のデザインだった。

「良ければ今夜にでも共にやらないか?」

思わぬ勧誘、二つ返事で頷きたかったが…魔術書を読んだり、体を鍛えたり…他にもやりたいことは山ほどある。

「まぁ、少しなら…」

「よし!俺も開発したいものがあるし、精々1時間ぐらいだろうが…偶には息抜きしないと、頭が壊れてしまうからな」

自分への言い訳を、代わりに神谷がしてくれた。


もし、日常が変わったら…ゲームをやれる余裕も、もしかしたら無くなるのか?…そうなるのか否かを確認する為に、動くんだ。

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