第6話 紛らわしい苺大福
フウチィ、こんなん来た
コリスが 困った八の字まゆげで ぼくに紙を見せる
そこには「貴様がすきです。」と一言 書かれていた
うん、きさまが すきです。か
これは、果し状なのだろうか、ラブレターなのだろうか
貴方様、あなたさま、あなたが すきです。 のまちがいかな
差出人らしき 右下には「エ」の文字
これは、カタカナのエ、もしくは漢字の工
二人してため息をつくが、謎のまま
*
コリスは少し 悪役にあこがれている しかも時代劇
だってさ、悪役がいるから、安心してヒーローがいられるんだよ
柿の種を齧りながら ほっぺをふくらませて力説する
夕方のテレビでは、トキドキ時代劇の再放送がやっていて
一緒に見ると、立ち回りシーンになかなか迫力あり
「越後屋、おぬしも悪よのう」
「いえいえ、お代官様ほどでは」
案外と、きわどいシーンもあって 帯くるくる回したりもあって
コリスは見ちゃいけないのではないの
こんな時、柚子さんがいなくてホッとする
*
この間の手紙の人、わかったんだよ コリスが言った
なんかぼくに おしごと手伝ってほしいんだって
エッチ後の大福、売るの!
はりきりコリスが叫ぶ
コリス、もう一度、いいですか
エッチ小屋の いちご大福を、売るの!
コリス君、モウイチド、イイデスカ
・・・・・・・・・。
エッチ後の大福 → 越後の大福
エッチ小屋のいちご大福 → 越後屋のいちご大福
聞きまちがいというより、ぼくの脳内変換ミス発覚
顔が熱くなって、ぼくは頬が真っ赤になるって
こういうことなんだって、初めて実体験した
変なとこで 小さな「っ」を入れるな、紛らわしいコリスめ!
一応、ぼくは本編で 妖精さんのような扱いを受けていて
でも、ふつうの14才の男だから、何も知らない訳じゃなくて
いや、ごめんなさい 何でもありません!
本当に柚子さんがいなくてよかった
結局、 越後屋、えちごやでもなく、「いちご屋の いちご大福」の
エチゴさんから、お祭りの間、店番を頼まれたことが わかった
*
その午後は あまずっぱい 苺の香りが漂い
大福もやわらかく、こしあんも絶妙な具合で しあわせなひととき
コリスがこっち見てニヤニヤするのだけが ほんと余計だった
* 作者が 少年フウチで 不適切に遊んでしまったこと、お詫び致します
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます