第6話 紛らわしい苺大福


フウチィ、こんなん来た


コリスが 困った八の字まゆげで ぼくに紙を見せる

そこには「貴様がすきです。」と一言 書かれていた

うん、きさまが すきです。か


これは、果し状なのだろうか、ラブレターなのだろうか

貴方様、あなたさま、あなたが すきです。 のまちがいかな


差出人らしき 右下には「エ」の文字

これは、カタカナのエ、もしくは漢字の工


二人してため息をつくが、謎のまま



コリスは少し 悪役にあこがれている しかも時代劇

だってさ、悪役がいるから、安心してヒーローがいられるんだよ

柿の種を齧りながら ほっぺをふくらませて力説する


夕方のテレビでは、トキドキ時代劇の再放送がやっていて

一緒に見ると、立ち回りシーンになかなか迫力あり


「越後屋、おぬしも悪よのう」

「いえいえ、お代官様ほどでは」


案外と、きわどいシーンもあって 帯くるくる回したりもあって

コリスは見ちゃいけないのではないの

こんな時、柚子さんがいなくてホッとする



この間の手紙の人、わかったんだよ コリスが言った

なんかぼくに おしごと手伝ってほしいんだって


エッチ後の大福、売るの!

はりきりコリスが叫ぶ


コリス、もう一度、いいですか


エッチ小屋の いちご大福を、売るの!


コリス君、モウイチド、イイデスカ


・・・・・・・・・。


エッチ後の大福 → 越後の大福

エッチ小屋のいちご大福 → 越後屋のいちご大福



聞きまちがいというより、ぼくの脳内変換ミス発覚

顔が熱くなって、ぼくは頬が真っ赤になるって

こういうことなんだって、初めて実体験した


変なとこで 小さな「っ」を入れるな、紛らわしいコリスめ!



一応、ぼくは本編で 妖精さんのような扱いを受けていて

でも、ふつうの14才の男だから、何も知らない訳じゃなくて


いや、ごめんなさい 何でもありません!

本当に柚子さんがいなくてよかった



結局、 越後屋、えちごやでもなく、「いちご屋の いちご大福」の

エチゴさんから、お祭りの間、店番を頼まれたことが わかった



その午後は あまずっぱい 苺の香りが漂い

大福もやわらかく、こしあんも絶妙な具合で しあわせなひととき


コリスがこっち見てニヤニヤするのだけが ほんと余計だった




* 作者が 少年フウチで 不適切に遊んでしまったこと、お詫び致します

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