第73話 穴の開いた防弾ガラスの謎
軽装甲機動車、通称LAV。自衛隊が保有する四輪装甲車で航空自衛隊にも配備されています。今回はそのLAVの防弾ガラスが返納されてきた時のお話です。
「すみません、返納に来ました」某部隊の隊員が物品の返納に来ました。物は先程も述べたLAVの防弾ガラスでした。
物品の返納には返納票(物品の事が書かれている証書)とリペタグ(どういう理由で故障したかが書かれているタグ。緑色をしているため緑タグとも呼ばれる。正式名称は忘れた)そして場合によりTO(テクニカルオーダー。大雑把に言うと装備品の説明書のようなもの)が添付されます。
LAVの側面の防弾ガラスとのことでした。部品と書類を確認して部隊の人も帰っていきました。
「…なんかおかしいぞ」先程確認した防弾ガラスになにか違和感を覚えたため再度確認することにしました。まあ半分はLAVの防弾ガラス触りたかっただけなんすけどね
調べたところ三つばかりおかしなところが見つかりました。
一つ目はそもそも側面の防弾ガラスではなく後部の物
側面だと開閉のためにヒンジが付いていて且つ台形のような形をしているのですがこの返納されてきたガラスは固定式で形も単なる長方形、念のためTOと照らし合わせて後部の防弾ガラスと断定しました。
二つ目は故障したのが数年以上も前
何故これを数年も放置していたのか謎です。まあ単に忘れてたって可能性もありますが
三つ目は…
そもそもこのガラスひび割れが入っていてそこからすでに怪しかったのですが、そのひび割れに沿ってマスキングテープが貼られている箇所があり怪しさ満点だったので少し剥がしてみることにしました。
ベリベリと剥がすとなんとそこには直径6~9mm程度の穴が貫通しているではありませんか。いくら拳銃弾防護程度とは言え(形状と厚さからして対7.62mm以前のガラスでした)防弾ガラスをぶち抜くって何をしたんだよと思いました。
穴を更に観察してみると穴の内側はガラスが溶けていて何か物凄い高温もしくは高速な物体によって貫通したんじゃないかと見受けられました。
溶接棒かバーナーで穴を開けた?一体何のために?
銃器で撃った?誰が何のために?
物は書類不備ということで先程の部隊に一旦戻してもらいました。
しばらくして後部ガラスとして書き直された書類とともにひび割れ貫通ガラスがやってきて処置・出荷されました。
その後あの防弾ガラスがどうなったかそして結局何故ああなっていたのか自分はいまだに知りません。
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