第52話 チバラギへ出張

そろそろ退職の意思を上官に伝えようか考えてた矢先でした。

「航空観閲式の支援要員として○月○日から一ヶ月ほどT基地に行ってくれ」出張決定です。というわけでしばらく退職はお預けになります…


航空観閲式とは三年に一度、T基地で実施される航空自衛隊の観閲式です。自衛隊のお偉いさんだけでなく総理大臣や外国の要人や軍人も出席します。その観閲式での自分の仕事はどうやら交通誘導員のようです。

一ヶ月も誘導の棒振りの練習だけするわけないし色々他にもやるのかな? その時は忙しくなりそうだなと思ってました。


「T 基地は周りに何にもないからなー」「T基地の風呂は汚くて入ると性病にかかるぞ」「観閲式の時はT基地内に屋台村が出来てそこの店で女が買える」空曹の人達に色々言われました。これらが有り得そうだから自衛隊ってすごいです。


出発の日です。最寄り駅まではバスで、そこから先は鉄道移動です。某都会駅でT基地のバスが待つ駅まで向かう電車に乗り換えます。電車が進むにつれてどんどん寂れていきます。

これがチバラギか…

自分の想像以上の寂れっぷりに少し感動しました。目的の駅につき、バスに乗り換えます。当然ながら車内は各方面から集まった自衛官だらけなので色んな話が聞こえてきます。

「KCって給油機というより輸送機ですよねwアラスカまで行くのに給油機じゃなくて輸送機として使って何のために買ったんですかねアレw」まあよくある話です。

「ここって騒音問題で夜間飛行何回までって地元と取り決めあったのに今の基地司令が飛行隊ごとに何回までとか曲解して地元と揉めてるらしいですよ」本当かどうかは知りませんが本当ならそんな奴の下で働くとか困ったもんです。まあ後々のこと考えると事実なんだろうなあと今になって思います。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る