第30話 脱落者

教育隊では脱落者が必ず出ます。自分の時は大体班ごとに1人、つまり約1/10が教育期間中にいなくなりました。一番早い人だと入隊の宣誓書にサインするまでにいなくなります。隣の班にそんな人が一名いました。後ろ姿しか見てないので顔も名前も知らないです。幻のような存在です。


辞めるのにも理由があって集団生活に馴染めない体力的に厳しいとかいうありきたりな物から、訓練中に病気や怪我をしたり実は採用時は見落とされていたが本来は入隊してはいけない病気を持っていたというどうしようもない物もあります。中には第一志望だった別職種の公務員の採用が急遽決まったなどという人もいました。


自分がいた教育隊では辞めたいといえば即辞められたみたいです。区隊長も公務員になってから最初の半年はすぐ辞められるし逆を言えばすぐにクビを切られる可能性もあるというようなことをおっしゃってました。

でも他所では部隊や教官の経歴に傷がつくから教育期間中でもなかなか辞めさせないなんて不埒なとこもあるみたいです。だからいじめや自殺で有名になるんだよ なあ、海上○衛隊?


自分のいた班は覇気がないだの自覚が足りないだの言われていましたが、誰一人として落伍者を出さなかったのは誉められてもいいと思います。

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