第18話 ビスコ事件

罰の次の日は今まで以上にピリピリしていました。まあまた何十分もその場伏せなんてごめんですしね。疲れるだけでなく時間が減るのでないに越したことはありません。

しかしまあ昨日の今日でもやらかす人はやらかすんですねこれが。


その日の午後の課業は銃を使った教練でした。教練終了後にウエスとブラシで汚れを落として油を薄く塗り、班長にちゃんと手入れしたか確認をもらいます。続いて武器庫前で安全装置が所定の位置になっているかを別の班長に確認してもらい武器庫の所定の位置に格納します。ちなみに予備自補では武器庫のスライドドアの溝を踏まないように教育され、踏んだ人が怒鳴られてましたがここではそんなことはありません。


武器を格納したら居室へ戻ります。しかしこれで終了即休憩ではないのです。全ての銃が武器庫に無事納められよしの放送がかかるまであくまで「待機」、装具類は身に着けたままで携帯をさわったりなどの行為はご法度です。

「A中隊舎後に集合繰り返すA中隊舎後に集合」おいおい今度は何だ?皆そう思いながら舎後に向かいます。隊舎内は過去にけが人が出たため走るのが禁止となっているので外に出てから駆け出します。

「なんだあいつ?」朝礼台に誰かが何かを両手で持ち上げた状態で立たされていました。


しばらくすると浜田班長がやってきました。

「彼は待機と命令されたにもかかわらず菓子を食べていた!」やらかした同期が持っていたのはビスコでした。フルメ〇ルジャケットで見たぞこれ俺は詳しいんだ

「おい食えや」班長がビスコを微笑みデブ役の口に突っ込みます。微笑み君は嫌がりますがお構いなし。もふもふもふっ…ビスコが崩れ落ちながらも投入されていきます。

「美味しいか!?」

「いいえ…」

「嘘つけ!食え!」もふもふもふ…

しばらくそのショーは続きました。

「いいか!お菓子ってのは美味しいんだよ!?」何故かこのセリフだけは覚えています。班長から待機命令を守ること等のお叱りをもらい解散となりました。フルメタ〇ジャケットみたいに彼を囲みながら腕立てさせられると思ってたのでほっとしました。

「マジふざけんなよ…」解散時に誰かがつぶやきました。今となっては笑い話ですがあの時は皆そのような怒りを感じていました。

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