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花木理葉(HANAKI Riyou)

はいはいの章

001 グラビアを遺影として見る

 美人の、なんてことない微笑みのGIF動画(数秒の短い映像)に、時間を忘れてぼーっと見入ってしまう。そこで、ふと思ったわけです。こんな美人がこの世にいるわけない。いるわけがないんですよ。

 でも、いる。映像があるんだもの。この紋所が目に入らぬかーっ! ってなもんです。GIF動画ですけど。

 んでね。ふと思ったわけ。じゃあ、彼女がもう亡くなっているとしたらどうだろう。不謹慎だし、腹を立てる人もいるかもしれません。でも、自分には彼女が生きているのか、それとももう亡くなっているのか、そもそも彼女は何歳で何人でどんな言語をしゃべるのか、それすらわからないわけです。インターネットをしていて、たまたま出会った映像なんですもの。

 そこで、切なくなってしまいまして。彼女のことを何も知らない自分に、ではなく。

 こんな美人が、優しい微笑みをたたえている美人が、この世にもういないなんて。なんてことだろう。世界は残酷だなあ、って残酷なのはそんな想像しているお前だろっ、って脳内で絶賛突っ込まれ中なんですが、まあそれはそれで。

 で、このメソッド。ネット上にあふれている、どの画像や動画にも適用できるんじゃないでしょうか。もっといえば、雑誌のカバー、ファッションモデル、あるいはグラビアアイドルやコスプレしているお嬢さん方まで、共通していけるんじゃないでしょうか。

 さて。本質はそんな話ではなく。

 同じ写真を見るにしても、受け手がどういう風に捉えるかによって、ここまで別の気持ちになってしまうものなのかー、と自分で自分に驚いたわけです。まあ、びっくり。奥様、あそこのご主人、浮気してらしたんですって。会社の上司のゴリマッチョと。

 世界は見ている人によって変わる、なんて言いますけど、そんな大げさにしゃべらなくたって、写真ひとつとっても、どう見るかが世界を広げてくれます。その想像力の根底にあるのは教養なんでしょうね。

 小説書いてるような種類の人たちには、いまさらのお話でしょう。

 そうそう、小説というか、文字だけの本は読めないって人が世の中にはいますね。あれは想像力の引き出しが少ないがゆえに、あるいは架空の世界を想像するのが困難がゆえに、苦手だって思うんでしょう。

 その点、まんがや映像は想像の手間を省いてくれます。なので頭をつかうのが面倒くさい人たちも安心。

 おっと、なんだかディスってるみたいに読めますけど、そんなことないですよ。まんがも映像も好き好き。でもお金の方がもっと好きです。

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