小悪魔女子との魔法契約
鯉渕千尋
第1章 小悪魔女子との新生活
【0】 プロローグ
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――最も古い記憶は、神秘ささえ感じられるほど白い雪景色。その中で、一人の女性と年老いた男性が向き合って立っている。
「————!」
顔に炎のような激しい怒りを浮かべた
だが、その猛進は、女性の
カウンターパンチで心臓を破壊された老爺は、信じられないものを見るような目で女性を凝視した後、断末魔も無く息絶えた。
女性は生気のなくなった『老爺だったもの』から無造作に拳を引き抜き、自分の身体を見下ろした。その身体は老爺の返り血だけではなく、様々な血に彩られている。しかし彼女はその惨状を特に気にした様子も無く、今度はこちらへと向かって来る。
逃げなければならない。そう、自分の中の何かが
目の前で、女性がピタリと足を止めた。もしかして見逃してくれるのだろうかと、涙に濡れた目を彼女に向ける。すると、彼女は笑顔で何かを自分に話した後、石ころでも蹴とばすように致死の
自分が走馬灯を見ることはなかった。見る暇がないほどに、その蹴りは速かった。
肉が削げ、骨が砕ける音が鼓膜を叩く。今まで耳にしたどんな音よりも不快なそれを聞いたとき、目を
――だが、一向に痛みが襲ってこない。死とは冷たいものだと思っていたが、今はむしろ身体が暖かいほどだ。
おそるおそる
彼が身を
逃げることができなかった自分のせいで、彼が犠牲になるなんてあってはならない。助けなければ――そう思うが、しかし彼の息は長くは続きそうになかった。
男の子は、わき腹から背中にかけて肉が露わになっており、即死していないのが不思議なくらいの重傷だった。
苦しいのか、出血が多すぎて寒さを感じているのか、男の子は浅い呼吸を繰り返しながら身体を震わせている。
助けてあげたいけど、どうすればいいのかわからなくて、そう考えている間にも男の子の呼吸はどんどん浅くなっていって。
男の子の身体の震えが止まり、綺麗な黒目が輝きを失ったところで、その記憶は途切れている。
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