この世界は一体何と闘っているんだ?~キャットフードとドックフードは臨時レーション以外有り得ない世界である

大介丸

第1話

彼は軽く欠伸をしながら、一人で住んでいる安アパートから出ると

貌を少し顰めた。

「何だ? この焦げ臭い臭いは」

まるでオイルが燃えたような異臭に彼は、困惑した表情を浮かべる。

――――だが、その原因となるようなものは周囲には見当たらない。

 気味が悪くはあったが、今は時間が無い。

 彼はすっきりとしない気分を抱えたまま、朝食を買いにコンビニに

向かう事にした。

だが、

昨日とは、何かが違うを感じた。

アパートからコンビニに向かう途中、彼は周囲の光景を見て困惑する。

 だが、しばらくすると彼にも否応なしにその『原因』が何であるかを理解した。


「……一体これはなんだ?」

 彼は困惑した表情を浮かべながら、無意識に頭を掻く。

 そして寝癖のついていることに気づいてゲンナリとした顔を浮かべた。

 彼がを覚える――その『原因』は、すれ違う幾人もの通行人達の

 服装姿だった。



「何か近所で、仮装パーティでもあるのか?」

すれ違う幾人もの通行人達の服装に珍しそうな目を向けながら呟く。

……少なくとも、彼の知っている日常は、すれ違う全ての通行人が迷彩服を

 着込み戦闘用ヘルメットを着用しているなどありえない。

 それこそ、映画化ドラマの撮影でもなければの話だが



 しかもやけにすれ違う全ての通行人は、着こなしが様になっている。

彼にすれば、まるで米軍基地に紛れ込んでしまったような錯覚にとらわれた。

すれ違った通行人の誰しもが、服の上からも筋肉の盛り上がっており、まるで

アスリートの様に鍛え上げられている様なので、その妄想に拍車をかけた。

「(何か近所で、仮装パーティでもあるのか?)」

 だが、いくらなんでも自動小銃らしき銃器まで持ち歩くのは凝りすぎだろうと思った。

 モデルガンだって、決して安くは無いのに。

彼は頸を傾げながら心の中で呟きつつも、通行人達が手に持っている自動小銃

らしき銃器に目を向けた。



その自動小銃がだと言う可能性は、最初から彼の頭にはない。

なぜなら、ここが彼の知っている日本だと信じていたからだ。

日本国内でそのようなものを持ち歩けば、すぐに警察がやってきて、銃刀法違反で逮捕されるのが当たり前。

それが彼にとっての日常であり、である。




 そのため、彼は二つほど見逃していた事があった。

一つは――――迷彩服を着込んだ通行人達がベルトに

付け、イヤホンをそれに接続していた事。

 そしてもう一つは――――






 




 




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