○笑う大天使(川原泉)

 超・お嬢様学校、聖ミカエル学園高等部にうっかり・・・・入学してしまった3人の女の子のお話。その3人というのが、まあ見事な猫かぶり。

 一人は両親が死去した後、生き別れで見ず知らずの兄と生活する子。

 一人は超お嬢様でありながら、冷え切った両親の間で育った子。

 一人は超成り上がりでありながら染みついた貧乏が離れない家族を持つ子。


 どの子も優等生の皮を被り、周囲から人気があるが、本性はただの庶民である。猫かぶり。

 3人も最初は猫かぶりで話していたが、あるきっかけで全員猫かぶりが判明、3人の時はぐーたらな会話を続けるのである。

 そして事件が起こっていく……


 ギャグテイストでありながら、哲学、神話、昔話と節操のない知識がふんだんに盛り込まれ、非常に読んでいて楽しい。ちょっと古い作品なので、ギャグも古かったりするが。

 重たいテーマの時にもタッチは軽妙であり、しかしずしんと確実に心に響く。何せ前述の通り家族に難があるキャラばかりだ、必然家族の話は出てくるし、重たくもなる。が、読み終わった後のこの爽やかさはなんだろうか。


 物語の構成というものを、一体どうやっているのか分からない作品の一つ。全く関係ないエピソードや展開かと思いきや、回り回って伏線だった、とか。思いつきなんじゃなかろか?とも思うが、きっと複雑な思考の持ち主なんだろう。


 僅か2巻で完結。大きなエピソードとしては4つ。いずれも私は好きだが、一番はやはりおハルさんの話だ。くそう、読み返してまた泣いた。ずるい。


 この作品に限らず、川原先生の作品は面白い。何を隠そう、私はカーラ教徒。分からない人はググッてね。

 是非一読を。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る