エイプリルフールの真実

「先輩! お昼休みです! エイプリルフールですよっ!」

「そうだねぇ」

「Hey! 嘘! カモン! さぁ! 時間は少ない!」

「何でそんな張り切ってるのよ……」

「折角年に一度『嘘を吐いて良い日』だもの! 吐かなきゃもったいないわ!」

「日本人らしい意見ね。でも残念」

「え?」

「エイプリルフールで嘘を吐いて良いのは『午前中だけ』よ」

「……え?」

「午後には午前中に吐いた嘘をばらす事がルールなのよ」

「嘘だ……」

「ホントだって」

「嘘だっ!!!」

「ちょ、うるさいって!」

「色々考えてたのに~。わ~ん」

「その割に『嘘を吐けっ』ておかしくない?」

「先輩に騙される私……(うっとり)」

「付き合い止めるぞ……」

「嘘ですってばぁ」

「やれやれ」

「でも日本中、いや世界中ホントお祭りの日ですよね」

「個人的にはいつだったかの井村屋さんのあずきバーには爆笑したわ」

「あぁ、企業さんも本当に凝ってますよね」

「いつも楽しませて頂いてます」

「誰に言ってるんですか?」

「色々あるのよ。昔はTVでもやってた事があるらしくて、イギリスのTVでは『パスタの成る木』ってのがあったそうよ」

「うひゃぁ。騙される人、いるんですか?」

「それがすごかったらしい。問い合わせが殺到して。未だに信じてる人がいるとかいないとか」

「はぁ~……」

「ブリティッシュジョーク恐るべし。まあ、私が吐くにしても、そんな大げさなのは無理だろうけどね」

「……ん?」

「ん?」

「んんん???」

「どした?」

「先輩、普段滅多にしてこない癖に、今朝に限ってメールしてきましたよね」

「あぁ、したねぇ。接頭語は余計だが」

「『宝くじ当たったよー!』」

「嘘だねぇ」

「『海外旅行の予定がつきそう!』」

「嘘だねぇ」

「唐突な『彼と上手くいってるよー!』アピール」

「……」

「……」

「……」

「先輩」

「うぅ……」

「ほら、昼ご飯食べに食堂行きましょう。奢りますから。納豆定食でいいですよね?」

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