前のエピソード――第40話「Elle:PrieR ～しあわせの欠片をさがして～」

一応、タイトルだけは知っていた作品。何か面白いものはないか～といつものようにソフマップ店内を徘徊していると目に入り、絵も好みなのもあって、せっかくだし遊んでみようと購入。

この世界ではSRという広告技術が発達し、自分の目の前にウインドウを任意に開け、広告を見ることができる。他にもオルカという端末（タブレットみたいな物）があり、メールや電話・ネットができ、身分証明書にもなっている。これがないと公私共に生活できないほどだ。昔の車が飛んだりしていたSFアニメというより、近未来な世界観である。そこがとても良く、風景が素晴らしい。勿論、女の子達も可愛いのは言うまでもない。仲良しの女友達、仲良し姉妹、引きこもりの妹など色々なタイプがいる。

肝心のシナリオに関しては序盤のプロローグを見る限りはごく普通の純愛モノだと思った。SNSで知り合った主人公と女の子がリアルで会うことになったのだが…ここら辺は恋愛小説やギャルゲでよくありそうな展開。そこはいい。だが、その後が…。

主人公は生徒会長も務め、皆、彼を慕っている。そんな彼が意図せず悲惨な目に逢い、クラスメイトはおろか、友達や先生、生徒会、他クラスからも嫌われていく（男共は彼を勇者として称えている）あげくの果てに主人公は生徒会長を自ら辞職した。正直、この展開はビックリした。この部分が嫌という人も大勢いて、評価が真っ二つに別れている。中にはシナリオがクソで、近未来的な雰囲気を楽しむ為のゲームと批評している人もいる。

…が、筆者からすればその意見は間違いだ。このゲームはシナリオにとても凝っているし、決して悪いものではない。むしろ最高に面白いぞーと声を大にして叫びたいほどだ。

確かに主人公は上述したようにある出来事でほぼ全ての人から信頼を落とし、生徒会長も辞めてしまう。でも、彼を嫌いになりきれない味方がきちんといるのだ。なぜ、主人公はそうなったのか？その原因を探る内に友人たちにも不可解な現象が起きていく。主人公はそれを調べ、解決する為に行動を開始した。

そして、事件が解決していくたびに仲間が増え、主人公に信頼を寄せ、結束していく。この部分が個人的には非常に良いと感じた。序盤の辛さに耐え、ぜひ最期までやってみて欲しい。

また、細かいことだが、このゲームではメッセージ表示が普通のADVみたいにダラダラ文章が流れるのではなく、１行２行程度で文章が収まっている。なので、内容が頭にスッと入るし、次々に読み進めることができるのだ。おかげでボリュームある物語なのに時間を忘れて熱中してしまうこと請け合い。これは製作者側がユーザーをよく考えて作成しているなと感じた。遊んでいると、いつも2～3時間は経ってる(笑)

他にも話の冒頭部分で心にひっかかる物を与えてくるので、それを解消しようと続きをどんどん読んでしまう…という心理効果が。

また、キャラクター達はSNS上で話すこともあり、アバターなどの可愛いSDキャラ表示もある。そういった細かい演出にも光るモノがあるぞ。なので、普通のADVみたいに長いメッセージをダラダラ読み進めで眠くなることもさほどなく、飽きずに楽しむことができる。だからこそ、熱中してプレイできるのだ。難しい用語もさほどなく、新しい用語が出てきても説明があるので親切。ぜひ、万人にプレイして欲しいゲームである。

なお、ファンディスクのNEOもあるのでクリアしたらそちらも遊んでみて欲しい。