月夜のカゲロウ~恋をしたくはないかい?~

水木レナ

#1プロローグ

#1(とある国の家の前)

音声:「馬の足音、止まる」

フォーンス王(36)「おまえの娘を召し上げると言っているのだ、かわりに二度と親子の名乗りは許さぬ」

老婆(70)「とんでもない。アレは我が家の大事な働き手。わたしは独りで暮らしてはゆけなんだ」

フォーンス王「では一生食うに困らぬ手当をやろう」

音声:「貨幣が数枚鳴る音」

老婆「(まじまじと見て)これは……ヴァルトスのフォーンス王の刻印!」

フォーンス王「いくらでも用意はある。文句はあるまい。己の娘がこのヴァルトス王の側室となるのであればな!」

老婆「あ、あなた様は、ヴァルトスの、王であらせられるのか……?」

フォーンス王「何度も言わせるな。黙っておれば娘の奉公(ほうこう)に値するだけの額面を、その方(ほう)にとらす」

老婆「(言葉もない)へええええ……」

音声:「馬の足音がだんだん小さくなっていく」

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