養老の庭
息はくさい。足腰は立たず、皮膚はしわだらけ。くしゃみをしただけでおしっこを漏らす。人生は老年期まで保存できない。賞味期限はそんなにはない。死だって歯ごたえのない生命には食いつきもしない。
死に見捨てられた人間は生きてもいられない。その呼吸は酸素をとりこまず、二酸化炭素を吐き出すこともない。排泄はスカシっ屁だけで、徐々に肉体自体が汚物に変わってゆく。
老人たちの人間としての死を求める戦いをひまわり戦争と呼ぶのは、そう、痴呆症を認知症と言い換えるがごとしである。決して「ひまわり老人保育園」で死んだ寝たきり老人日記の記述から起こった事件を端緒とするからではない。
死神が逃げ出したとたん死にたがり
湯たんぽを猫に取られて凍死かな
タンポポの咲いた空き地に犬の糞
糞溜めの戦に匂ういぬふぐり
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