マメ



「痛い!」

 マメ? マメなのか?

 帰ってきた恋人に頬擦りして、ヨダレを数滴。

「やっと帰ってきて、くれたんだね」

 見つめ合う目と目の幻。

「ユメ、じゃないのか?」

 薄い皮膚に下のかすかにしこった青洟色の恋人の丸みに失神した。


 ポン!

(指が口からぬけだす音)


 トンチキポンチキなマメの恋人は、やがてマメ遊びにも飽きて、指を大きく広げ、手のひらを太陽にかざした。キタノクニカラクルヒカリマメ! 君に決めた。僕らはみんな生きている。

「ソラマメ。チマメ。ヒトノマメ」

 呪文を唱え、マメを剥いて犬にくれてやった。

「さようなら」

 ミミズだって、アメンボだって、仔ウサギだって、(偽装産地のコメよりも有名無実なオレのマメ)なんでも犬は喜んで食べた。

 テアカマメ。

 ホクロマメ。

 ヨリドリミドリマメ……

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