『うらみ』と『ねたみ』と『にくしみ』とっ!!

@drowninginsea

第1話この世界の秘密

 突然だが、皆さんはご存知だろうか、この世界の秘密に。なに、まだ知らない?では教えてあげよう。この世界の秘密というのは、可愛い弟が存在しないことだ!ツンデレの弟だったり、お兄ちゃん大好きっ!な弟だったり、お兄ちゃんがほかの男の子と親しくなったりすると嫉妬しちゃうような弟などいない!いても極めて少ない。え?そういうのを期待したわけじゃない?ならば、幼馴染が格好良くて、世話焼きで、俺のことが好き、というのはほぼありえない!というのはどうだ?なんで驚かないんだ!?世界の秘密だぞ!?因みに俺はこの事実をネット上で知ってしまってから、一か月は夜しか眠れなかった。あぁ、あと、転校生は謎のイケメン、というのもほとんどないらしいな。乙女ゲームとかではテンプレート的な展開なのに…。現実は…。

「なに空想にひたってんの!馬鹿うどん!男の癖に乙女ゲームばっかりやってるから、すぐ空想世界にトリップしちゃうんじゃないの⁉そんなんだからいつになっても彼氏…じゃなかった、彼女ができないのよっ!!」

 もともとツリ目な目を限界まで吊り上げ、肩につくかつかないかくらいの髪の毛を、揺らしながら怒鳴る。こいつの名前は鈴木鈴。読みはすずきりん、だ。鈴、という漢字が二つも入っているので、クラスメイトなどからは、りんりん、なんて呼ばれているそうだ。りんりんはこいつにとって可愛すぎやしないか…。しかし俺はりんごと呼ばせてもらっている。意味は特にないが。まだ朝の6時だというのに元気だ。こいつはご老人か?なんて考えてたらサバンナのライオンも逃げ出すのではないかと思うほどの睨みで返してきた。おお、怖い…。因みに俺がうどんと呼ばれている理由は知らなくて結構だ!

「まったく…。ん…電話?…あっ!…も、っもしもしっ⁉うん、鈴だよっ!お、おはよっ!しょ、翔くん…!」

 こいつには翔くんとかいう彼氏がいる。かれこれ一年半くらい付き合っているようだ。りんごは所謂ツンデレキャラっぽい性格だが、彼氏の翔くんがやさしくフォローしてくれているようだ。どうでもいいが通話中のにやけ具合と赤面状態はどうにかなんないのか…。幸せオーラ全開でぶち壊したくなる。

「えっ⁉…うん…私も、好き、だよ……う、うっさい!!翔くんから先に言ってきたんでしょ⁉もう!!…うん、うん…じゃあまた学校で…じゃあね…。…馬鹿うどん!!早く退治しに行くわよ!あんまり待たせないでよねっ!!」

 全国のリア充を爆発させたくなった俺は間違っているのだろうか。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

『うらみ』と『ねたみ』と『にくしみ』とっ!! @drowninginsea

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

フォローしてこの作品の続きを読もう

この小説のおすすめレビューを見る