34 道1 古代から続く道 

 東京は、江戸時代に大規模な都市計画など無いまま発展し続けてきた。江戸時代は所謂住所は無く、無秩序に発展したため、ランドマークとなる「〇〇橋袂」とか、「〇〇坂上」といった表現で地名を現したため、「坂」や「橋」の名前のつく地名が現代に続いて多く残っている。


 一方京都では、中国に倣って条里制を取り入れて都を増築したため、南北に「通り」、東西に「条」が整然と並んでいる。


 さらに大阪に行くと、南北に「筋」といわれる道が走り、東西は「通り」と名づけられた道が走っている(もちろん、例外はいくつかあるが)。駅の前にあるバス停は『〇〇駅前』と名づけられ、駅近くのバス停は『〇〇駅筋』と名づけられたりもする。


 東京には、『〇〇筋』と呼ばれる通りや地名はない。そもそも『筋』は細長くかつ何本か連なったものをさす言葉で、江戸時代に地勢によって区分された行政区画を『筋』と呼んだ。


 住所の概念は第5話銀座ナインでも触れたが、再度記すと次のようなものだ。

 

 普段私たちが住所と聞いて思い浮かぶのは、1962年(昭和37年)に施行された『住居表示に関する法律』に基づいて付けられたものだ。

 この住所は、『道路方式』と『街区方式』があるが、ほとんどの場所で『街区方式』が採用されている。

 街区は、道路、川、鉄道など恒久的な施設で区分けされた一つのブロック(法律では3,000㎡~5,000㎡とされています)毎に番号が振られる。

たとえば『銀座1丁目(町名)1番(街区)1号(住居番号)』と付けられる。


 住居番号は、市区町村の中心に近い角(概ね市役所・区役所に近い方)を起点として、時計回りに番号が振られていく。

 ここでご注意いただきたい点は、『住居』に番号が振られていくという点だ。

つまり、建物に番号が振られるのであって、更地(建物のたっていない土地)には住所(住居番号)は無いという事である。

 更地に新しく家が建つと、市役所・区役所に行って申請することにより、市区町村が住居番号を決める。


 では、建物の建っていない土地の住所はないのだろうか? 実は土地には『地番』が付けられている。

 地番は、明治に入って地租改正により土地から税金(固定資産税)を徴収するため、土地の所有権を明確にする目的を持って付けられた番号だ。

 住居表示のように秩序だって付けられたわけではなく、分筆(一つの土地を分割する)や合筆(複数の土地を一つにまとめる)により連続した番号が必ずしも隣同士にあるとは限らない。

 つまり『地番』は土地の範囲の概念を示し、『住居表示』は、位置の概念を示すと考えるとわかりやすいのではないだろうか。


 さて、『道』は、人類史上集落が出来ると、集落と集落の間に

  1最短距離で

  2安全に

  3歩きやすい

以上の要件を満たしたところに『踏み分け道』が自然発生的に出来上がった。人々の営みが道へとつながっていく。


 世界中で最も古い人の手で整備された道は、紀元前3800年のイングランド南西部のSweet track にある土手道だと言われている。

 その後大々的に整備された道といえば、何と言ってもローマ帝国が築いた『ローマ街道』だろう。紀元前3世紀頃から整備が始まり、2世紀頃にはローマ全土を結び総延長29万キロに及んだといわれている。


 一方日本における道路建設は、日本書紀に5世紀頃に道が造られた記述がみられるが、はっきりしたことは判っていない。

 同じく日本書紀の推古天皇21年(613年)の条に、「難波(なにわ)より京(飛鳥)に至る大道(おおじ)を置く」と記された「大道」のルートが、大阪と奈良を東西に結ぶ竹内街道と重なることから、日本最古の官製街道と言われている。


 大化の改新に『駅伝制』を布く旨の記述があるが、山陽道、西海道、東海道など、九州から関東に至るまで、広範囲に整備されたようだ。

 1995年(平成7年)東京都国分寺市泉町で『東山道武蔵路』が全長340mに渡って発掘調査された。なんと道幅は12mもあり、側溝まで備えられていた立派なものだ。

 最近の発掘調査で古代の官製道路は、都周辺では24m~42m、地方では6m~12mであったことが判っている。

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