勿忘草-私を忘れないで-
千紘
プロローグ
・・・また。
また、この季節が来た。
しとしとと降る雨は熱を帯びていて、長い黒髪に染み込んでいく。サラサラで軽く揺れていた彼女の髪は、徐々に重みを増していく。彼女は左手で、湿気を吸った髪をかき上げた。かき上げた髪の下から、揺れ出たガラス玉。薄く透明な空の色をしている。首から下げたそれは、水滴により控えめに光っていた。彼女はそれに触れると、わずかに口角を上げる。それなのに、とても切なげに見えた。
まだ梅雨は終わらない。
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