飼い豚

あたし家畜を卒業します

そう言ってあの子は虎になった

しあわせとは何なのか

手探りした指がぬるり湿った


かなしいねメアリー

もう逢えないかもしれない


穀潰しから脱却します

そう言ったあの子の一寸先

闇が口を開けているが

それすら飼い慣らす気だろうか


さみしいねメアリー

ぼくは棄てられる飼い主だ


すがるこの手に噛み付く力も

いつしか身につけたらしい

虎がぼくから去っていくのは

おそらくそう遠くない未来


ぼくはまだそれを知らずに

メアリーあの子を愛している

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