ミックスジュース

氷の浮いたグラスの中で

ぐるぐるかき混ぜられた想いが

ストローに吸われて上がってく

結局誰にも届かずに

ぼくに飲み込まれるんだな


好きとか嫌いを知りたいよ

ケーキの苺はいつ食べるんだい?

ひとに訊く前に自分からって

そんなのただのお喋りだ

うるさがられたくはないや


何にも言えずに氷を噛んだ

砕けた音が思いの外響いた

どうしたのって顔上げたきみの

まんまるな瞳にさらされて

ぼくの笑顔もカチンと凍る


氷の浮いたグラスの中で

かき混ぜられた想いを差し出す

おいしいよ一口いかがかな

きみはひょいとグラスを取って

思い切りよくストロー吸った


かき混ぜられた想いを飲んで

「まあまあだね」ときみは笑った

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る