おいていく

おいていく側になりたいのだ。

私をおいていくたくさんのものたちが私を焦がれさせるから、同じように焦がれる誰かをつくるために。


おいていく。

毎夜ビルから飛び降りる。

思い出はちゃんと抱えていくよと言うと、それはブタのぬいぐるみになった。


おいていかれたあなたを想像してみても、どうやっても三日もせずに元通りだ。

私への執着なんて生きるうえで何の役にもたたぬことを、賢い人は誰しもわかっているのだ。


それでも飛び降りる。

今夜も何処かで私のお通夜があればいいなと、街の灯を目で追いながら。


思い出はちゃんと抱えていくよ。

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