第8話

 畢竟、悪いのは私なのだろう。

 他の誰でもなく、私の責任なのであろう。彼に惚れてしまった、私の責任。

 貴方との約束を守るために、未だに現世に留まっている、私の。

 然しながら、私には他に術が無かったのだ。

 貴方と私との約束を守るため、私と私との約束を守るため、大人しく素直に、あの世に逝く訳にいかなかったのだ。

 だから、私の責任なのだろう。

 否、私は望んでこうしているのだ。

 望んで、幽霊になって貴方を待っている。

 貴方という異形と接しながらも、幽霊の存在なんて嘘だと思っていた。莫迦莫迦しいと思っていた。

 それでも、約束が私を現世に縛りつけてくれた。私を此処に留めてくれた。

 嗚呼、だって、愛は理屈を超えるのだから。

 もしも、何方か、神様にお会いすることがありましたら、私の代わりに謝っておいてください。

 彼に惚れてしまったことを。

 神様の元に逝くのを、拒んでいることを。

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