第3回 空腹男早朝絶叫
掲載日2017年 08月31日 01時00分
第3回 空腹男早朝絶叫
初めての中国自動車道ではあったが、実に単調な道のりであった
快調に走って午前5時、中国道・社PAにてトイレ休憩
此処を抜ければ岡山県まであと少し
運転手は満を持して交替の平松、助手席には相変わらずのテンションで喋りたくる一人ナビデブこと佐野
大阪の団地や、中国道の道路沿いにある家の灯りを見ては、そこに暮らす人々の営みに思いを馳せる
佐「いまあいつ(明かりの点いた窓を指して)、どんなDVD見てんのかな。団地かな」
平「また団地かよ!」
佐「俺は団地フェチなんだ!」
昼でも夜でも、そこにたたずむ団地の風情に興奮するらしい
知らない街、普通にしてたら絶対に来ないような普通の街
そこを今こうして走っている。その感触
そのワクワク感といったらない
岡山に入り、さらに西へ
岡山県と言えばこの時より3年ぐらい前の「四国上陸」の時に国道2号線で来て、坂出から瀬戸大橋を渡ったのであった
あの時はすでに昼を過ぎていて、明るい瀬戸内海と晴れ渡る空を見ながら走ったものだった
逆を言えば、あの時分に国道を何時間も走って岡山に辿り着いていたのに対して、5時間そこそこで岡山に入ってしまったという事でもある。
なーんで若かりし3人は高速道路を使わなかったのか
まあ、そういう趣味であるとしか言いようもない
四国上陸の模様は、またいつか改めて
そうこうしている間に、夜が明けてきた
西行きの旅の利点と言えば、朝陽がまぶしくない事だ
東の空がうっすらと白んでゆくのを眺めながら、さらに進む
落合ジャンクションから米子自動車道に入るため、そろそろ青看板にも注意し始める
ちなみに我が地元ではこの道路上の看板の事をアオカンと略すのだが、皆さんの地域ではいかがだろうか。高速道路だから色合い的には緑なのだが、緑も昔は青と呼んだので、アオカンで良いのだろうとウチのオカンも言っていた
落合ジャンクションのすぐ手前まで来るころには、すっかり夜も明けていた
一晩中走り続けてた平松は空腹を覚え、どこかで朝飯を取りたいと言い出した
手元の地図には、美作追分PAが落合ジャンクションの手前にあると書いてある
そこへ行ってみよう、お店は閉まってても自販機のホットドッグぐらいにはありつけるかも……
すいーっと車を滑り込ませた平松は絶句していた。ホントに駐車場とトイレと自販機ぐらいしかないのだ
佐「まあ、パーキングってんだし嘘は言ってないわな」
平「そんなのアリかよーーーーー!」
腹ペコ男の絶叫が、晴れの国の暁を貫いた
つづく
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます