翼幅
terep
プロローグ
このような黄昏に彩られる町を、今までに何回見たのだろうか。
何度も見た此処に至るまでの道のりは長かったのだろうか。
そもそも本当に此処へ来た事があるのか。
なぜそんな単純なことさえも忘れてしまうのか。
今の自分にはそれさえも理解することが出来ない様だ。
それはあたかも水中に居るかのよう、身動きもとれず周りの状況も解らない。
そんな絶望的な状況の中、自分自身のすべきことを把握しているということが唯一の助けなのかもしれない。
取り敢えず今は、その自分のすべきことをするのが最優先事項なのだろう。
そう、今までしてきたように。
体に染みついた動きに従って繰り返そう、そして終わらせるんだ。
今度こそ。
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