第2話

神王教団が支配する神王国と、独自の神を崇める山の民が治める山の国。二つの国は互いの神の正統性を主張し、長年に渡り聖戦を繰り広げている。


天使操縦者である聖戦士の使命は異教徒を討ち滅ぼし神王教を広める事であり、その任務は専ら山の国部隊の掃討である。


しかしながら、いま聖戦士マリオンは山の国ではなく、神王国から海を隔てて遠く離れたワの国へ向かっている。


数日前。マリオンは神王軍本部に呼び出され、ワの国平定の命を受けた。

「畏れながら。ワの国など我が神王軍の手にかかれば赤子の手を捻るも同然。私の出番はないと思いますが。」

ワの国は未だに土着の精霊達を崇める未開の地である。文化も文明も神王国とは比べるべくもない。


「それがそうもいかぬのだ。報告によるとワの国を統べるヒミコとかいう女王が怪しげな呪術を使うらしく、全線の兵達は手こずっているようだ。そこで聖戦士であるお前の出番という訳だ。」

ワの国の呪術は土着信仰に基づく極めて原始的なものだ。神王国が誇る神造人型聖戦兵器であれば制圧は容易いであろう。


「畏まりました。必ずや呪術を打ち破ってご覧にいれましょう」

「頼むぞ。ワの国を平定し後顧の憂いを断つのだ」

たとえ未開の地に住む蛮族といえども信仰なき者それすなわち神に仇なす者である。

マリオンは神敵を討ち滅ぼすと心に誓い、高速艇に乗り込みワの国へ向かったのだった。

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