エクストリーム!
狐付き
X1 初登校!
「入学式のこと? うーん……忘れちまったなぁ。20年以上前のことだしな」
これは後にお父さんから聞いた話。
他にもお父さんの仕事仲間の人たちからも聞いてみた。だけどみんな覚えてなかった。
それどころか卒業式のこともロクに覚えていないらしい。
当時は心に刻まれるほどの大イベントだったらしいけど、大人になっていくと忘れるみたい。
世の中にはもっと魂を揺さぶられるほどの出来ごとがいっぱいあり、過去のことなんかどんどん上塗りされてしまうのかな。
だけど私はきっと、今日の入学式を一生忘れないかもしれない。
今朝、私はなんとなくいつもより早く起き、特にすることもなかったから学校へ向かった。
きっとドキドキワクワクしていたんだろう。
今日から高校生というだけじゃなく、私にとって初めて最後まで通える学校だと思うと、とてもうれしかったんだ。
私の両親は共働きで、しかもその仕事上の理由で同じところに長くいることはない。
物心ついたときにはもうそんな感じだったから、私は別にそれを辛いとは思っていない。
でも、友達は欲しかったな。そんな風には考えていた。
私は引っ越すたび、なるべく積極的に話すようにはしていた。だから数日あれば仲良くなれた。
一緒にごはん食べたり、遊びに行ったりはするけど、それだけの関係。きっと友達と呼べるほどのものじゃないんだろうなぁ。
友達ってどんなだろう。私はいつもそんなことマンガを読んで思ったりする。
高校くらいは入学した学校で卒業したいな。中学2年の冬、何気なくぽつりとつぶやいた私の言葉は、両親の心に突き刺さったらしい。
今まで私に随分と苦労させていたんだと勘違いしたみたいでちょっと自己嫌悪したけど、ずっと浮き草のような生活をしてきたからいいきっかけだったみたいだ。
その日から拠点となる家探し、そして私が行きたい学校探しが始まった。
学力にもよるけど、入る学校が選べる。それは私にとって衝撃的なことだった。がんばれば行きたい学校へ行ける。これって凄いことだ。
だけど学校ってどう選べばいいんだろう。私はそういう知識が全くなかった。
そんなとき、お父さんが言ってくれた。やりたいことができる学校に行けばいいと。
だから私は部活で選んだ。憧れの部活動! それとかわいい制服だったらいいな。
で、ネットで色々探したところ、私が入りたい部活のある学校はとても少ないことがわかった。
残念だけどその中から選んでやろうと思い、がんばって入学したのがこの学校。
そして私は初日から、その学校の裏の姿を覗いてしまった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます