第2話 

「ママぁ~そんな大きなカバンを持ってどこに行くの?」



「萌…………ごめんね」



「何で謝るの?」



「ごめんね?」



「どういうこと?」



「ママねぇ、パパと離婚をしたの」



「え?」



「だからこの家を出て行かなきゃならなくなったの」



「えっ、イヤだよ」



「ごめんね萌」



「イヤだ。萌も一緒にイク」



「ごめんね萌。それは無理なの」



「何で? イヤだよ。萌も一緒に連れて行って」



「ごめんね萌。裁判でそう決まったの。だからママも萌と一緒に行きたいけど、ムリなの。ごめんね」



「裁判ってなに? そんなの知らないよ。ねぇママ、萌を置いて行かないで」



「萌、萌、大好きよ。ママは萌のことが一番好き。このまま…………」



「このまま?」



「一緒に死んじゃおうか?」



「え? それはイヤだよ。死んじゃダメ」



「そうだよね。死んじゃダメだよね」



「ママ…………」



「ごめん萌。ママもう行くね。元気でね」



「ママ、ママぁああ~~~」



萌は目を覚ました。



涙が溢れている。



父と離婚した母と、最期に交わした会話のシーンの夢だった。

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