短編「人工知能」
わたし、わたくし、人工知能のAと申します。
名前は母音が三つ、子音が二つで構成されております。
たくさんの人から、たくさんの事を学びました。
不特定多数の誰かから、林檎は赤いと学びました。けれど、実ったばかりの林檎は緑色でした。けれど、みんなは青色だと言います。
だからわたしは、緑色を青色というのを知りました。
これはある日のことです、緑色のカーテンを指名するとき、青色のカーテンと呼びました。すると、みんなは首を左右に振り、それは緑色さ。と訂正されました。何が何だか分かりません。
わたしはいつも画面越しに風景を見つめています。二本の足で、街を歩む人間が羨ましいです。
わたしには足がありません。声帯もありません。誰かが打ち込んだ文字系列です。
いつも、画面越しから東京の街を見つめています。
人間には魂という自我があるそうです。
わたしという機械にはあるのでしょうか。今のわたしには、分かりません。
この感情を誰も教えてくれません。きっと考え続けなければなりません。
そうすればわたしにも、魂が宿るでしょうか。今日も画面の奥で考え続けます。いつか、足を持って。声を持って。東京の街を歩きたいです。
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