恋人を射ち落した日~『英雄』の冒険譚外伝

光山都

恋人を射ち落した日~First

これは、私と『彼』との運命の出会いと別れの過去にあった物語。


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「マリーさん!」

「ん?どうしたの、ミリー?」


精神世界の中で私はミリーと会話をしていた。

遠慮がちにミリーこと、ミュリアが何か尋ねて来た。


「そのぉ~もしよかったら、アルトとの事を、教えてくれない?」

「?…彼の事」

「うん。昔のアルトについて教えてくれない?」

「彼は語ってくれないの?……まあ、いいかな。面白い事はないけど、いい?」

「うん。教えて!」

「…フフ、そうねえ、彼の事を語るには、まず私の事を教えるのがいいかな…」


こうして私はかつての、私と彼の出逢いの時を懐かしい気持ちになりながらも思い返しつつミリーに語っていく。


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当時の私は、人間が嫌いだった。

私の時代ではまだ、それ程ではないが人間達の、闇夜族の者に対して不遇な扱いをするものが少なからずいたからだ。

人間至上主義。そんなくだらない思想を抱いている者もいた。


私は闇夜族の『幽角族』と言う種族に生まれた少し変わった少女だった。

名前は、マリアージュ・ルーシェ・ダークマターと少し長いが、これにも色々意味があったりする。

容姿は自分で言うのは何だがそれなりのスタイルをしていると思う。

出るとこは出ていると思う。

『彼』もよく私の一部をよく見ていたから。

初めは気に入らなかったが段々と薄れ、寧ろ嬉しいとさえ思うようになっていた。

おっと、話が脱線したかな。……そんな羨ましそうに凝視しないでほしいなあ~

私の容姿に関してだったかな…

そうですね…特徴と言えば紺色の長いサラッとした自慢の髪と、幽角族の特徴である髪と同じ色の頭部にある角であるかな。あと、紺色のドレスにスカートはスリットが開いたタイプに胸当ての鎧を付けているのが私の冒険者スタイルであったかな。

あとは、年齢はその年で15になったばかりだったかな。

あと、そうね。家族は異母姉妹の姉が1人いたわ。

姉さんは私と違って獣人族の母親の血を強く継いでいるので私と同じ髪の色の他は猫耳がある事が特徴だと思う。

私と姉さんの仲は良かったと思う。と言うより姉さんはちょっと私に対して過保護なくらい構って来たので困ったりする事もあった。それでも、私にとっては唯一の大事な家族だったよ。


当時の私の今?

そうね、私は当時、故郷の家の隣接している人間国のとあるギルドで冒険者をして生計を立てていたわ。

人間の空間内にいるのも正直嫌だけど、私にはお金が必要だったから、仕方なくだがそこで生活していたわ。

?…どうしてお金が必要か~…それは、姉さんの病気を治すためだったの。

姉さんは昨年から原因不明の病気に掛かり今は寝たきりの状態が多くなっていたの。

ギルドに登録していたのは、ギルドには色んな情報が舞い込んでくる。その中に姉さんの病気を治す手段があるかもしれないかも、と思ったからだ。

私が、家を出る時は姉さんにも止められたが、日に日に弱る姉さんをほっておくなんて私には出来なかった。


そんなこんなで、今日もギルドにやってきた。

ギルドに入ってきた私を見て、人間達は蔑みの視線を向けてきた。

どうして闇夜族が堂々としているんだ?とかそんな事を思っているのだろう。

けど、周囲の人間は遠巻きに私に視線を向けてくるのみで、ちょっかいを掛けてはこない。

と言うよりも、私が初めてギルドに訪れた際に何人かの冒険者の男達が絡んできたの。当然私はそいつらを徹底的に痛めつけた。


私の力は、幽角族の中でも特別強い。中でも、基本属性よりも貴重と言われる特殊属性。さらに貴重な『固有属性』を持っていた。

私の固有属性は『闇』。この属性を持っている者は現状1人もいないとの事だった。

うん。あなたも持っている『闇』よ。


そして私の最大の力はその膨大な魔力量と固有能力だった。


膨大な魔力は、もともと高い魔力を持って生まれてくる幽角族に加え、母型の翼人族の血を引いているからだろうか…

あとは、種族特性である固有能力『血塊源界』の力だろう。この力は血を操る事が出来る能力なのだ。この能力が後々面倒なことになるんだけどね。


++++


さて、今日の依頼が無いか見に行くかな…


…………う~ん…鉱石採取だけかぁ~まっ、良いかな。

取り敢えず私はこの依頼を受ける事を受付の人に告げると依頼の契約を行った。

その後は、目的の森にある洞窟に向かう為ギルドを出るのだった。

出る際に何人かの不愉快な波長を感じていたが…


私は、気にせず森を歩いていると、やはりと言うか6人ほどの足音が私を付けているのが分かった。

私の耳は少し尖っている。そして、私は耳がいい方なので意識を集中すると極僅かの物音にも気付く事が出来る。


付き纏われるのは面倒なので人目の付かない場所まで来ると不躾な、恐らく人間達であろう者達を迎撃してやろうかなと思った時だった。

私を追っていた足音が1つ以外消えたのだ。

いや、足音から別の足音であるから別人だろう推察した。


そして私が歩いてきた方向から1人の、私と同い年くらいの金の髪をした少年が現れた。


この少年こそ、『彼』であり、私が最も嫌いで、そして最も愛した運命の、そして宿命の人であった。







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