資本主義的殺し屋稼業
ザイロ
第1話
空は茜色に染まり、行政無線が「夕焼け小焼け」で午後四時になったことを知らせている。季節が秋から冬になったことにより、いっそう太陽が日本の空に居られる時間は減ってようだ。
僕は自転車に乗り、帰宅の路に着く。街は主婦や学校からようやく解放され友達と騒いでいる学生や杖を付いた腰の曲がった老人などが見受けられた。
しばらく自転車を漕ぎ、自宅であるアパートに到着した。
アパートのドアの鍵を開け、乱雑に靴を振り落とし、六畳一間の部屋に入った。
僕は、持っていたビニール袋からカップラーメンを取り出して台所のスペースまで行く。鍋に水を入れて、コンロに置いて火を点け水が沸騰するのを待つ間に冷蔵庫からコーラの1.5ℓのペットボトルを取り出し、ついでにコップを持って自室に戻り、机に置いた。
お湯をカップラーメンに注ぎ、三分間―今の自分にとってはとても長く感じられる時間―を待つ。これからすることを考えると憂鬱になっていく。
急いでカップラーメンを胃の中に詰め込むと、クローゼットから黒いスーツを出して、着替え始める。このスーツを着る時は嫌なことしか起こらない。
着替え終わり、ベットの下から仕事道具―ベレッタM92と弾丸が15発入ったマガジンを取りだす。
日本では銃規制が厳しいので、違法に手に入れた銃や弾丸を浪費せないようにしてているつもりだ。
僕はセーフティを解除し、空打ちをしてからマガジンを差し込み、スライドを動かし薬室に弾丸が入ったことを確認し、セーフティにしてホルスターにしまう。これらは会社先から支給されたものだ。
胃がきりきりと痛み出し、薬箱から錠剤の胃薬を取り出しそのまま飲みこむ。
支給されたスマートフォンのメールアプリを開き、暗号化された内容を解読ツールを使い読める状態にして、改めて読み返す。
そろそろ通勤しなくてはいけないので、灰色のダブルトレンチコートを羽織り、家の鍵をしめて、自転車で駅に向かう。
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