第六日

土の震え、水の震えはそれぞれに満ちる者に時には迷惑となる事もあった。

しかももはや震えはそれぞれ自身には止めようの無いものとなっていた。

しかし自らの主の喜びであるから動物も鳥もそれほど気にはしなかった。


しかし水の震えだけは違った。

水の震えは当の魚には迷惑をかけなかったが、その代わりに土を削った。

満ちる土の減った動物は声を荒げ、土も水を責めた。

土や空と同じように水の震えも、もはや水自身にはどうしようもなかった。

水は自らに沈んだ土と水とを練り、土に満ちる動物を讃え模した四脚の像を作った。

それを土と水との境に並べ、ひとまずの備えとした。

水は人に像の作り方を教えた。


一日と呼ぶにはあまりにも長かったかもしれない。

もしくはほんの一瞬だったかもしれないが、護岸の始まりはこのようにあった。

第六日の事である。

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