クルンの奇跡

予兆

あなたは、奇跡を信じますか？

在るかも知れないけど、奇跡って何？

これは、そんな奇跡の物語。

「たすけて！誰かたすけて」

　唐突に頭に響いた呼び掛けに、クララは周りを見回しました、何時ものように大好きな花を愛でている時です。

「誰ですか？」

　姿の見えないその声に、彼女は恐る恐る問い掛けます。

　すると返事は無く真っ青な空にポツンとピンクの雲が現れたかと思うと、物凄い勢いでそれは大きく膨れ上がり、色が紫からどす黒く変わって、彼女の大好きな青空を覆い尽くしてしまいました。

　クララはその雲が造った闇の中に吸い込まれてしまいました。