第5話 小生と未来人



 小生の前に、変な服を着た少女が現れた。


 簡単に説明すると『ターミネーター』の登場シーンのようだった。

 昔、とんねるずというお笑い芸人がパロディーをしたあれである。

 いや、あれは『ターミネーター2』の方だった。


 まあ、それはさておき、その少女が語るに彼女は未来から来たらしい。

 小生、紳士なので、この時代に来た理由を尋ねた。


「SF警察という組織が、未来で大変な事件を起こしている」

 

 自分がSF警察の幹部であることを黙ってることにした。沈黙は金なのである。作戦、命を大事に。

 

 小生、素知らぬ顔をして、そのSF警察がどんな事件を起こすのか聞いてみた。

 もはや、タイムパラドックスとか、色んなことを考えるより、自分の身の安全の方が重要である。



 曰く、SF警察は『SFじゃない』という言葉を武器に言論弾圧をしている。

 曰く、SF警察は内紛状態であり、警察どころかヤクザの抗争状態である。

 曰く、SF警察は過去にメールを送信する機械を作って大変なことになった。



 ふむ、どうやら思っていたより大変である。少女がどうやってその問題を解決するのか気になったので、小生聞いてみた。


「ある人物を殺害すればいいらしいです。何でもSF警察の幹部で、自分のことを変な呼び方をする方らしいです」


 ほうほう、それは誰のことだろう。小生はSF警察の幹部などあまり知らないので、誰のことか分からなかった。


 ふむ、一人殺害して、未来が平和になるのならば、あまり悪くないような気がしないでもない。最大多数の最大幸福というやつである。

 だが、やはり殺人は良くない、と思い直した。

 

 そもそも、過去の人間を殺せば未来が変わるわけで、未来が変わればタイムマシンがあるのか、そもそもこの未来人が存在しているか、という疑問が湧く。


 未来から過去を変えるために来た。過去を変えたらその未来が存在しない。未来が存在しないということは、未来人が過去を変えられるわけがない。


 もしも、過去が変えられるならば、それは始めからそう決まっていたからであり、例え過去を変えようとしても未来は変わらず、過去を変えようとする行為そのものが未来を決定付けているとも言える。


 ということを少女に言ったら、相談しますと言って未来に帰った。

 小生、見知らぬ誰かの命を救っていい気分である。


 後日、少女はしばらくこちらで暮らし、未来の影響を調べるそうだ。

 さて、どうなることやら。



<続く?>


 

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