第9話 西暦4000年 ボグリンピック

「さあ刻一刻と40○×年ボグリンピックの開幕が迫ってきております。今年のボグリンピックは大幅なルール改訂により各国共その代表選手の顔ぶれが大幅に変わっております。いったいこれがどう作用するのか注目であります。

ではここでルール改訂に至るまでをおさらいしておきましょう。

そもそもの発端は前世紀の世界大戦にて導入されたサイボーグ兵士でした。

戦傷で戦えなくなった兵士に生身のものより高性能な機械を装着することで前より強くなって再び戦場で戦えるようにするというものでした。

しかし、いざ戦争が終わってしまえばオーバースペックなそれらは日常生活を送る上では手に余る代物でした。さらには犯罪に走るサイボーグも現れ反サイボーグ運動が起こるなど当時の社会問題にまで発展してしまいます。

これに危機感を覚えた元サイボーグ部隊のN氏が、サイボーグだけのオリンピック、ボグリンピックの開催を提唱します。

当時ますます高性能化していく道具によってその基本理念が揺らいでいったパラリンピックの一部門として始まったサイボーグ競技でしたが、その生身の人間には不可能なダイナミックな競技はたちまちの内に人々を魅了し、今ではボグリンピックとして改称、人の限界に挑むオリンピックに対して、人を越えた超人達がしのぎを削る場となっています。

しかし昨今は著しい技術進歩のため、もはや人間の原型をとどめていない改造を施された選手も出ており、それら度を越した改造は果たして人間と言えるのか。サイボーグだからといって際限無く改造しても良いのか。そういった声が聞こえてくるようになり今回のルール改訂に繋がりました。新ルールでは二手二足の直立歩行する人型であることに加えて身長体重などにレギュレーションが設けられています。

各国が技術の粋を集めてコンパクトに集約したその力を存分に降るってもらいましょう!さぁ間もなく開会式の時間です!」

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