第2話 西暦2800年 コロッセオの剣闘士

戦争は変わった。全くもって同意である。

際限無く進歩していく技術は、ハッタリでなく本当に人類を死滅させるのに十分な兵器を作り上げ、人類は今までとは違った形の戦争をしなければならなくなった。


それが国連の国際戦争運営委員会主導による『限定戦争』である。

戦場を限定し、人員を限定し、装備を限定して行われる戦争は、人が死ぬサバイバルゲームと言って良いだろう。

人の命を消費する以上、それに見会う利益が必要。そう言って全世界にライブ配信される映像はかなりの収益を上げているらしい。

初期の頃こそ反対運動家も居たが、ではお前達は全面戦争がしたいのかと言われれば口をつぐむしかない。

こうして止める者のいない今、戦争に求められるのは圧倒的な物量ではなく、ただ一人の英雄。

だからこそ生き残った者には栄誉と栄光が待っているのだ。


テレビには今日の仕合に出場する選手が紹介されている。

今回の戦争は近年南アフリカで独立したN共和国の、加盟国による国家承認と国連加入をかけての戦争だ。

対するは独立を認めない強硬派先進国による連合チーム。


どんな裏取引がされたのか、ノーコメントを貫いてきた我が国の代表戦士まで参加している。

フィールドはタクラマカン砂漠の一角。戦争が今のシステムになって戦場を提供できる国は大分儲かっているらしい。

全面戦争にならないという安心感からか、このシステムになってから『戦争』がかなり増えた。


特に今まで国力の低さを個人の能力で補っていた後進国の宣戦布告が特に多い。

今までの恨み辛みが重なっているのだろう。


そうこう言っているうちに仕合開始時刻が来た。

負けた国にはペナルティがあるんだ、負けないでくれよ、と祈りつつ私はビールを啜るのだった。

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