風城晴 〜フウジョウハル〜

4月14日


「何か僕に手伝えることはあるかな?」


 どのような返事が返ってくるのかは大体予想できるのだが、僕は僅かな希望にかけて風城晴さんにそう聞いた。


「無いよ。今はね」


 今日は仕事が休みだというのにわざわざ事務所に来て、小さな美術館と化した姫路プロジェクトのプロジェクトルームの展示物に対して味気ない壁をお得意のDIYでより美術館らしくしてくれている晴さんはそう即答した。


「折角の休みなのに申し訳ないね」


「プロデューサー、気にしないでくれ。DIYは僕が自己満足でやっていることだから」


 晴さんはそう言いながら、張り替えた壁紙のつぎはぎ部分の模様に違和感を覚えないように1ミリ単位での調整を行って余分な箇所を切り取った。


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