4月10日

「あっ」

　スケジュール帳を眺めていた根黒新さんは突然何かに気付いたように声を上げた。

「新さん、どうかしたの？」

「プロデューサー、確かこの間、６月10日の土曜日と6月11日の日曜日に予定されていた仕事が別日に移動することになったとか言っていたよな？」

「相手側のミスがあったみたいで変更になったはずだけど」

「その日って、まだ他の仕事は入れていないよな？」

　そう聞かれた僕はパソコンで新さんの6月のスケジュールを確認し、念のために手書きのスケジュール帳でも新さんのスケジュールを確認した。

「僕の方ではその日のスケジュールは空いているからなにも入れてはいないはずだけれど」

「じゃあ、10日と11日はライブに出ても良いか？」

「ライブに？」

「その日にあるよな？　ライブ」

　新さんの言う通り、その日は名古屋で姫路プロジェクトの定期ライブが行われる予定となっていた。

「ちょっとで良いからさ。駄目か？」

「構わないよ。でも、出るからにはいつものレッスンとは別にライブ用のレッスンを入れさせてもらうけど良いよね？」

「もちろんだ。よろしく頼む」

「任せて」

　新さんに出演してもらう事になったが、あえて新さんの出演は発表せずにシークレットゲストとして参加してもらう事にした。

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