津辺飛鳥 〜ツベアスカ〜

1月30日


この日、僕は津辺飛鳥さんに呼ばれて飛鳥さんの通う学校へやって来た。


「あぁ、プロデューサー。遅……くはないね。時間通りだ」


「用事というのはユニット関係の話だよね?」


「あぁ、そういう事だ。今朝新曲の歌詞が出来たから聴いてもらおうと思ってね」


 飛鳥さんはそう言うと、小学生の時から愛用しているという赤い色のギターを手に取った。


「それじゃあ、よく聴いてもらおうか。新曲『恋路探偵』」


 飛鳥さんが1人で歌ったユニット曲はタイトルからでもわかる通り恋愛に関する曲で、いつも通りすぐにでも売り出すことが出来そうな完成度で仕上がっていた。


「ちなみに飛鳥さん、この曲は」


「あぁ、これはわたしが恋愛をして書いた詞じゃない。1週間ほど前に恋愛相談を受けてね、その時に思いついた詞だ」


「それなら良いけど」


「分かってくれたなら良かった。じゃあ、いつものように頼んだよ」


 飛鳥さんはそう言うと、僕に今使っていたピックを放り投げた。僕はそれを受け取り、新しいピックを飛鳥さんに放り渡し、今聴いた『恋路探偵』という曲を必ず世に出すという約束をした。

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