須磨笑顔 〜スマエガオ〜

1月24日


「笑顔さん、お疲れ様」


「ありがとう、プロデューサー。でも心配されるほど疲れてはいないわよ。私、まだ若いもの」


 須磨笑顔さんは名前のように笑顔は見せないものの、僕が笑顔さんをスカウトするきっかけとなった神秘的な微笑みを見せてそう返してきた。


「プロデューサー、明日の予定はどうなっていたかしら?」


「明日? 明日は」


 歩きながら明日の予定を言いかけると、笑顔さんは段差も何もない廊下で盛大に転んだ。


「大丈夫?」


「えぇ、大丈夫よ。怪我はしていないわ」


 転んでもなお神秘的な雰囲気を醸し出している笑顔さんに手を差し伸べて僕は再び明日のスケジュールを伝えた。僕がスケジュールを伝え終わるまでに笑顔さんは5度ほど段差など一切見当たらない廊下で盛大に転んでいた。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る