大空果 〜オオゾラコノミ〜

1月9日


 ふと甘いものが食べたくなり、事務所1階にある喫茶店へ行くと、見知った顔がカウンターに立っていた。


「いらっしゃいませ、プロデュ~サ~」


「果ちゃん、どうしてここに?」


「おじいちゃんに無理を言って今日1日お手伝いをさせてもらっているんです」


 果ちゃんは母方の祖父でありこの喫茶店のマスターでもある水守さんがいつだったか自作したというオリジナルデザインのエプロンを着てそう言った。


「ところでプロデュ~サ~、ご注文は?」


 果ちゃんは普段のマスターの口調をまねるようにそう言った。マスターとは違い言い慣れた雰囲気は全く無かったが、カウンター越しに言うその姿はマスターと同じようにさまになっていた。


「ティラミスとホットミルクを貰おうかな」


「かしこまりました」


 注文を受けた果ちゃんはいつもとは違い祖父としての瞳をしているマスターに見守られながら僕の注文の品をせっせと準備していた。

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